AOURとは

Dvorak配列を土台とした、行段系かな入力方式です。ATOK、Google日本語入力等で比較的簡単に実装することが可能です。自分は2007年頃からローマ字入力に代えてずっと使っています。

AOURの盤面図
AOURの盤面図

普通の方は、キーボードでの文字入力の時にローマ字入力を使っていると思います。今は9割以上の方がローマ字入力派だそうです。
ですが、文字入力の方式は他にも様々あって、ローマ字入力よりも効率の良い方式もたくさんあります。たとえばキーボードの盤面のかな表記のとおりに入力するJISかな入力は、一つのかな文字に一つのキー定義が割り当てられていますから、単純比較では子音と母音の2キーを押下しなければならないローマ字入力よりも効率が良いことになります。ほかにも、かつてワープロ専用機時代によく使われた親指シフトだとか、それ以外にも個人で様々な方式が作られて、少数ながらそういう方式を使っている人もいます。
自分も、かつては普通のローマ字入力を使っていましたが、もう15年以上、20年近く独自の入力方式を使っています。どのようなものか紹介します。

自分の方式は、AOURという名を付けていて、ローマ字入力のように子音と母音の組み合わせで入力していく方式ですが、「拡張」と呼ぶ定義を多く作っていて、普通のローマ字入力の7~8割の打鍵数で同じ分量の文字入力ができるようになっています。
キーボードの配列は、通常QWERTY配列と言って、数字キーの下の段がQ、W、E、R、T、Y……と並んでいるのが一般的ですが、米国などで第2の方式と呼ばれるDvorak配列があります。これは英語の入力効率を考慮して作られたようで、米国では一定数のユーザがいて、それなりに知名度があります。
このDvorak配列では、左手のホームポジション、すなわちブラインドタッチをする時の指配置の初期位置に、A、O、E、U、さらにその隣にIの5つの母音キーがこの並びで配置されています。この配列位置でカナ入力をすることを考えると、母音は必ず左手ホームになりますから、打鍵しやすく、覚えやすく、また子音の多くは右手になりますので、単純には右手左手と順に打鍵してカナ文字が入力できることになります。まずこれだけで、この配列でローマ字入力をすることが効率的だと何となくわかると思います。

AOURも、このDvorak配列をほぼベースにしたキー定義を行っていて、子音も母音も、そのキー位置はQWERTY配列とは異なりますが、単音はほぼ左右交互の打鍵によりカナ文字入力ができるようになっています。ただし、ワ行やザ行などは左手側に子音があって、全ての行が左右交互打鍵になっていないところもあります。
また、ほかに長音キーを右手のホーム、小指の一つ隣のキーに割り当てたり、撥音「ん」、促音「っ」に単独のキーを割り当てたりしていて、これらの入力をローマ字入力よりも簡単にできるようにもしてあります。
拗音の入力は、ローマ字入力ではYキーを使いますが、AOURでは子音と同段の右手人差し指キーに、そのYの役割を定義しています。すなわち、その子音がキーボードのどの段にあるかによって、拗音キーが異なります。覚えにくいように思うかも知れませんが、実はこの後解説する方式で解消されます。

AOURの基本はまず以上ですが、しかしこれだけだと、配列が通常のローマ字入力と異なるだけで、あまり効率は向上しません。AOURの特徴である「拡張」とは、和文の文字列、単語に頻出するつづりの多くに定義を割り当てていることにあります。
その一つが二重母音です。「爽快(そうかい)」はローマ字入力ではSOUKAIです。このOUとAIは母音が続いており、このようなつづり部分を二重母音と呼んでいます。また、「観音(かんのん)」など子音の次に「ん」が来る、子音の後に撥音んが続く、撥音節と呼んでいるつづりも頻出です。これらの、子音+二重母音や撥音節のパターンのほぼ全てに、それぞれ定義を割り当てています。つまり、この例で言うと、「そう」「かい」「かん」「のん」にそれぞれ2打鍵での定義を割り当てています。
このため、二重母音や撥音節で、上の例ではどちらもJISかな入力と同じ4打鍵で入力できます。ローマ字入力だと「そうかい」は6打鍵、「かんのん」はNを重ねる必要があり、7打鍵でした。

それぞれのつづりに割り当てる定義がローマ字入力よりずっと多いので、とても覚えられないと思うかもしれませんが、Dvorak配列ベースで母音が綺麗に並んでいるので、その母音のすぐ上のキー、あるいはそのすぐ下のキー、などのように位置と意味を関連付けて配置してあります。たとえばOUの二重母音は母音オのキー(S)のすぐ上のキー(W)、ONの撥音節は母音オのすぐ下のキー(X)のように割り当てられるので習得に際して指が覚えるまでに、少し思い出してキーの位置を探ることができます。このため、特にブラインドタッチができて既にキーの位置を把握できている人であれば、さほど時間を掛けずにこのような拡張定義も覚えることが出来ます。

そのような拡張は、まだ他にもあります。先ほど入力が面倒にならないかと危惧した拗音に関しても、シャ行、チャ行、ジャ行にはそれぞれ固有の子音キーを割り当てて、これらの拗音に関する打鍵を効率化しているほか、ょく、ゃくなど頻出の用音節にも拡張定義を割り当てていて、実はこれらを覚えることでYに相当する拗音キーはほぼ、使わずに拗音節を少ない打鍵で入力できるのです。
更には、促音「っ」に続くパターンにも定義を割り当てたりして、様々な関係での例外もありますが、そのよう拡張定義を多く持ち、ローマ字入力に比較して少ない打鍵で、効率よく文章・文字入力ができるような仕組を作っています。

この方式は、全く自分のオリジナルというわけではなく、先人たちも同様の方式、似たような考えの下の方式を作り出していて、中には幾つか有名なものもあります。その方式を自分の環境、つまりATOKやGoogle日本語入力で使う環境に合わせて、一部のキーを入れ替えたりしながら、自分独自の方式AOURとしたものです。
習得をするには、既にブラインドタッチができる人であることが、概ねの必須要件かもしれません。JISかな入力では覚えるキーが多いですが、この方式だと新たに習得する時の負担は、拡張入力部分を除けばローマ字入力のそれと変わりません。拡張入力は、少しずつ覚えていけば十分です。こういう方式によって、疲労と負担の少ない、新たな入力方式の習得が実現できます。

詳しくは、AOURを紹介しているサイトの解説ページをご覧下さい。

もっと詳しく…

詳しくは、「AOUR – Dvorak型行段系かな入力」へ。
AOUR配列、AOUR入力という場合もあります。
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定義ファイルと定義一覧(220712)(予備置き場)