岩国を買ってみる

投稿者: | 2014-05-31

自分が辞書を使う可能性がある場所は主に3カ所あって、1つは会社のデスクだが、あとの二つは自宅である。このたび新常用漢字に対応した国語辞典に切り替えようと一冊買うと、ならばこっちで使うこの辞書も置き換えねばならんと思い立って出費する悪い癖がある。

今回は岩波の国語辞典を買った。これまで自分で買って使う国語辞典としては、小学館のものか三省堂のものであった。購入する時に各種を見比べるとどうしても、冊数が多く並んでいて目立つものはそれなりに良いところもあって優先して選んでしまう。
岩波のものは、内容本文が一色刷でその雰囲気は同じ岩波の広辞苑にも少し似て、また多くの辞書でついているビニールなどのカバーもないシンプルな装丁であって、そういう見た目の部分からも、どうしても普段使いという部分からは選外になっていた。

評判や辞書のコンセプトを知る中で、岩国は辞書らしい辞書、保守的などと評されることもあるようで、語の変化を踏まえながら本来の意味を知るのにはより良いのかもしれないと思って手に取った。
一色刷だがそこはあまり気にならない。語の説明も確かに本来的な用法の説明が中心で、コピーの「信頼できる辞書」という意味も納得できる。使う漢字を調べたいときに三国なら巻末にまとまっているが、岩国はその見出し語本文の位地に多くの熟語用例とともにあるなど違いもある。
最新の語を取り入れて今の情勢に合わせてわかりやすく語釈を加えるという三省堂系ものも一つのコンセプトだが、歴史的な観点も含めて本来の用法を中心に解説するという岩波のようなのも自分としては良い。

そういうわけで、たまに同じ見出し語を複数の辞書で比較するのも面白いところであるが、実用という点ではこの辺の有名、売れ筋辞書であれば自分の要求するレベルのものは十分に満たすのでどれでもだいたい問題ない。