CASIO電卓の最上級機であるS100を手にした。キータッチも液晶も本体の質も、全て電卓とは思えないほどのプレミアム感で溢れている。他の実務機と同様に2色成型のキーが使われているが、よく見ると数字とAC、C、演算記号キーは2色成型ながらそれ以外の機能キーや細かい文字の刻印のキートップは印刷であるようだ。アルミの金属製筐体なので、この大きさでずっしりと重い。
しかし、本体が約3万円、純正のケースも合わせると4~5万円の電卓。ここまでの高級機になると、税理士・会計士のほか金融関係や高価な物を取り扱う商売以外、実務で使うのには向いていないかもしれないというのが第一印象であった。横着な扱いなどできない雰囲気で、散らかった慌ただしい机上では使えない。日常の使用には完全にオーバースペックであって、通常の実務、ハードな使い方をするならたとえばJS-20DBなどの機種のほうがずっと電卓の用途が生きる。
とは言え、普通は周りでこんな高級な電卓など選んで使っている人は居ないはずなので、そういう重使用でもない場合は使う度に高級感や所有している満足感を得ることができるのは間違いない。ボールペンではなく万年筆を使うような感覚で、手元に置いてたまに使うというだけでも勿体ないということはない。
実務に必要な機能は基本的に全て備わっている。検算や時間・日数計算はなく、CASIOの電卓では珍しくマルチ換算機能が備わっていて、ドルやユーロなど通貨の換算や単位の変換計算などに使うことができる。単位変換に関しては、たとえばよくftとmの換算をするなどの場合は良いが、様々な変換をするという場合は度量換算表と併せて使う必要があり、実務的にはそれが予めプログラムされた関数電卓のほうが便利ではあるし、一般の電卓でも定数計算を活用するなどで連続した変換・換算結果を得ることはできる。
キーの刻印や液晶表示には日本語の表記はなく、全て英語である。いわゆる英語キーボードと同様で日本人には使いづらいということはないが、一見海外向けの仕様にも見える。
バックアップバッテリーはCR2025で通常7年は持つとのことだが、裏蓋を開けなければならないのでこれの交換はサービスに出すようにと説明があり、公式には自分ではしないようにとされている。