万年筆それ自体はもちろん子供の頃から知っていたが、カートリッジのインクを交換して使うもので、ボトルインクやコンバーター、吸入式の機構を知ったのは大人になってからである。
ボールペンが普及する前は、大人の筆記具としては万年筆が一般的であって、学校の先生などが使っているのを見たこともあったような記憶もある。そういう、懐かしい筆記具でもあり、書きやすさや独特の筆跡、高級感などに惹かれ、使い始めたのが10年ほど前だ。
ボトルインクの液体を直に吸い上げてそれで筆記するなど、ボールペンしか使ったことのない者の感覚としては隔世の感さえある。どうせならボトルインクを使う、吸入式の本格的な万年筆にしようと選んだのが、スーベレーンM400であった。国産の万年筆はカートリッジが標準で、コンバーターも使えるというのが一般的で、吸入式のものはそう多くないという気がする。
確かにカートリッジのほうが便利だが、ボトルインクに比較して割高であるのと、黒、青、赤、ブルーブラック程度の一般的な色のものしか選べない。途中で色を変更したいと思っても、使い切るまで普通は外せない(外さない方が良い)など、それを使って楽しむためには少々物足りなさがあると思うからである。
余談ながら、そんなボトルインクも、インクの吸入時などにはだいたい必ず手にインクが付いてしまう。これは仕方が無い。それがまた味があって良いのだという人も多いと思うが、実際、付いてしまったインクを洗い落とすのは大変なので、最近では薄いビニールの手袋を使うようにしている。