万年筆は、鉛筆同様に古くからある筆記具で、無論自分の子供の頃からも折に触れて目にしていたものであるので、それ自体そもそも懐かしいし、文具店でインクカートリッジやインクのボトルが陳列されている光景もまた懐かしい。万年筆を使うようになるまでは、インクボトルを見かけても手に取ることさえなかったが、今になって改めて見てみると、昔から変わっていないのがPILOTのインクかもしれないと思う。
標準インキという呼び方が正しいのかどうか知らないが、PILOTの普通の黒青赤BBのインクのことで、30mlの小瓶で売られている。他の国内メーカーの標準インクではこんな小さな単位のボトルはないようだ。ラベルや箱のデザインは変わっているが、昔からどこの文具店にでも必ずあったものだと思う。今日、近所の店で探したが見当たらず、中心部の大きな店まで行かなければ見つけられなかった。
PILOTのその標準インキは、30mlボトルの他に70mlの大瓶と、更に大きな350mlの瓶のがあるようだ。30mlは定価400円で、他の普通のインクはもっと容量が多いので比べると本当に小さい。インクの吸入量は、普通のコンバータで0.5cc程度だから、ぴったり綺麗に使い切るなら60回分ということになる。ただ実際にはそういうことはなく、残りが少なくなってくると吸入自体ができないので、半分の30回分くらいが良いところだろうか。
色彩雫は大瓶で50ml、ミニボトルで15mlとのことで、いつも使っているそれと比較するとだいたい容量の感覚がつかめる。
標準インキ群では、ブルーブラックだけ70mlのボトルで使っていたが、それ以外の色は実際使ったことが無かったので、3色を入手してみた。
黒は、色彩雫の竹炭と比較すると少し淡い感じがあって、青もロイヤルブルーを想起させるかのような淡さがあった。赤はだいぶ朱に近い赤だが蛍光的な色にも感じる。標準インキの色は特徴的な部分はあまりない色で、いわば事務的な色とも言えるのだが、それがまたなんとも懐かしく、良い感じである。
プライベートな筆記ではなく、どこか事務的な筆記に向いていると思うのだが、実際そういうシーンはないかもしれない。
それにしても、ボトルインクはカートリッジに比較して圧倒的にコストがかからないし、好きな色も選べる。吸入の手間はかかるとしても、今後もカートリッジは補助的で主はボトルである。