コンバータは傀儡語か

投稿者: | 2017-06-25

万年筆のコンバータは何故コンバータというのか。
直訳すると「変換器」で、一体何を何に変換する器具だというのかわからない。機能としてはインクの吸入を行う物で、「吸入器」と説明されている場合もあり、むしろそのほうが妥当だ。元々の語源はConvertで、つまりは変換するということなのだが、想像するにカートリッジ式の万年筆を吸入式の万年筆に変換する器具、という役割に着目した名称なのではないか。だが日本語では吸入器としたほうがわかりやすい。
外来語は、日本語に訳することで日本人にわかりやすく、日本の文化に取り入れ、日本独自の進化・発展・開発に繋がる。これまでもそうしてきた。従って、安易に外来語をそのまま使うのではなく、カッコ悪いと見えてもあえて日本語に訳して堂々と使うべきだ。
万年筆の関連の用語で幾つか考えてみると、「キャップ」は「蓋」、「クリップ」は「留め具」、「カートリッジ」は「薬莢」、キャップレスの「ノック式」は「繰り出し式」と言える。インク色も「ブルーブラック」は「青墨」あるいは「青黒」や「濃紺」など。
「ペン」や「インク」など日本語として定着しているのでそのままでも良いかもしれないが、これも「ペン先」や「ニブ」を「尖端部」とか、「ペンポイント」を「尖端点」、「インク」も「洋墨」などと言い換えられる。「EF」「F」「FM」「M」「B」「BB」の字幅は「極細」「細字」「中細」「中字」「太字」「極太」で良いし、特太(C)、細字軟(SF)、楽譜(MS)、超軟(FA)、下向極細(PO)などと大体全て日本語でわかりやすく表すことが可能だ。
一般には、外来語のままのほうがイメージが伝わりやすいと思われていて、それも一理あるし、どの言語も外来語を起源とする語が取り入れられている。しかし既に日本語に相当する語があるのにわざわざ新たに外来語を取り入れて感覚を取り替える必要はない。語の侵略を安易に許すべきではない。「Fountain Pen」を「萬年筆」と訳したようにやっていけば良いのである。