テキストエディタと万年筆

投稿者: | 2018-10-29

ワープロからパソコンに乗り換えて、更にテキストエディタを文章書きのツールとして使い始めた頃、エディタは作家やライターなどプロが使う道具というイメージがあったので、筆記具では万年筆がそれに相当するというという理論だった。
作家の万年筆と同じ物を使ってみたくなるかのように、プロのツールであるエディタを使うのである、とよく説明していたのであるが、有名作家が使っているのと同じ万年筆を使いたいという傾向は、本当はあったのだろうかと今になって疑問に思う。
それはともかく、そんなことを書いていた当時は本格的に万年筆を使ったことがあるわけでもなく、万年筆が手に馴染む道具で、それがエディタも同じという点には、あまり注目していなかったように思う。
どちらも、使い込めばそれに比例して手放せなくなる道具である。自分は様々な万年筆を少しずつ使っているので、実際きちんと実感出来ていないのであるが、万年筆はペン先が自分の書き癖に馴染んで変化してくるという。テキストエディタは変化はしないが、操作感や配色は好みどおりにカスタマイズできるので、細かな調整を少しずつ加えていくことで無くてはならないツールになる。
文章を書くためのツールとしては、テキストエディタの他にもワープロソフトの一太郎などを使っているが、これらは最初に馴染んだワープロ専用機の操作感を想起させるような書くことに特化・集中できる環境を作ることが可能で、これ以外のツールは使いたくないと思う。ワープロ時代の懐かしさも時々感じる。
万年筆も、筆記具としての性能もさることながら、古くから使われている筆記具として使ったことがないのに懐かしさがあり、その時代は筆記具しかない時代であるからなお、万年筆が書くツールの王様であるかのように思うところが、使うことに対しての満足感に繋がっている。
今は、万年筆も使うしエディタも使う。デジタルで書く環境の雄と、アナログで書く筆記具の王様との組み合わせは、どういう作業をしても快適であるということである。