文章を人が読める形にするには、以前は筆記具を使って紙に手書きをするという以外の方法はなかったが、今はPCでワープロソフトやテキストエディタで書くのが一般的になって、むしろそれが当たり前になっている。今に至るまでには、ワープロ専用機の時代もあるが、基本的には一緒である。
ところで、ワープロやエディタで書く、と書いたが、書くという動作がどういうことかと考えると、そういう表現が適切なのかと疑問が起こる。
書くという語の意味は、三省堂国語辞典では「ペンや筆を使って字などを、目に見えるようにあらわす。」としており、新明解国語辞典でも「表わそうとする何かを物の表面に、目に見える形で示す。」などと説明している。
文字を目に見える形に表示する仕組みは、ワープロやエディタのアプリケーションなのだろうか。ATOKなどのIMEかもしれないし、Windowsの文字の描画機能かもしれない。用紙に印字するならプリンタのプリンタヘッドということになる。筆記具に視点を置くなら、入力のインターフェースであるキーボードということにもなる。
つまり、ワープロ・エディタで書くと言えなくもないが、これらはむしろ手書きにおける土台である紙の役割のほうに近い。
ワープロ・エディタで書くというより、ワープロに書く、エディタに書く、と言ったほうが適切なのではないかと思えてくる。