キーボードには、そのキーが何であるかラベルが印字・刻印されているのが普通である。JISキーボードではアルファベットと共にひらがなが印字されている。物によってはカタカナのものも稀にあるかも知れない。
このひらがなはJISかな入力のためのもので、ローマ字入力だけ使う場合には一切必要がない。最近はローマ字入力を使う人がほとんどなので、かな刻印の必要性は薄れてきていると言って良い。ユーザの中には、かな刻印がない方がデザイン的にスッキリするという理由やローマ字入力しか使わないのでかな刻印は不要という人も少なくない。子供などがローマ字入力を覚える際に邪魔にならないか心配もある。だが少数派のかな入力の人を支えるためなのか、かな刻印はそう簡単に廃止される傾向にはない。
それでも高価なキーボード製品では、JIS配列でもかな刻印がないキーボードも増えてきている。US配列では、そもそもかな刻印はない。
自分も元はローマ字入力、今はそれとも違った独自の入力方式で、要はかな刻印自体は必要がない。US配列を使っている。それでもJIS配列キーボードは、基本的にJISかな入力のために配列されているものであるから、かな刻印はむしろあるべきと思う。ひらがながあることでデザイン性が失われるとも思わない。日本のキーボードであることが一目で分かるので、尊重すべきであるとさえ思える。
ただ実際としてローマ字入力を使う人がほとんど、おそらく9割以上であって、そんなにシェアに違いがあるのに、いつまでもJISかな入力だけに依存しているのはどうかと思うところもある。
かな刻印を廃止してしまうというのも一案かもしれないが、ローマ字入力用の新たな刻印があっても良いと思う。たとえば、母音の「あいうえお」と、子音行の「かさたなはまやらわがざだばぱ」、あとは撥音の「ん」くらいがかなとして刻印があるというものである。それがあれば、新たにローマ字入力を覚える際の助けになるし、使わないJISかな入力のひらがな刻印が邪魔になるようなこともない。
究極的には、HHKBなどの製品で無刻印キーボードというのがある。これは文字通り、アルファベットや記号さえも印字されていないキートップを備えたモデルである。デザイン的には当然スッキリとしているが、これは記号も数字も全て完全にブラインドタッチができているような人でなければ使えない。
HHKBもそうだが、Realforceも黒配色、墨色のモデルは昇華印刷で刻印文字も黒というのがあって、これだと暗いところでは印字が見にくく場合によっては無刻印モデルにも見えるので、完全な無刻印モデルまでは自信が無いという自分のようなタイプには、こういう配色のモデルが良いかもしれない。