そのようなわけで、キーボードによる操作はPCを使う上では欠かせない重要なものであるとの考えから、キーボード環境を最適にしたいという考えはずっと持っている。当初は、コンパクトなキーボードよりもフルキーボードが一番という感覚で、PC-98でワープロ専用機のキーボードから移行した時がまず、良い環境の第一であったかも知れない。元を辿れば、オフィス用のデスクトップワープロでテンキー付きのフルキーボードだったことにも由来している。
PC-98のフルキーボードはしばらく使っているうちに、同じ操作がコンパクトなキーボードでできるノートPCも機能としては備えているわけだから、問題はなかろうと、それからしばらくはノートPCでパンタグラフのキーボードも使うようになった。再びデスクトップPCにしたときは、富士通のUSBフルキーボードを使い、やはりデスクトップのフルキーボードはこれで快適に感じるようになる。
丁度その頃から、会社でのPCがノートPCになり、ノートPCも打鍵するということに関しては悪くないと思い、再度パンタグラフキーボードがメインになったが、それでもフルキーボードが最高という思いはずっとあった。
ただこの頃は、フルキーボードはデスクトップPCと共にあるもので、ノートPCである以上は本体のパンタグラフキーボードを使う以外の選択肢はないと思っていた。なのでその頃は、ノートPCに外付けのキーボードで一応満足はしていたのである。だがどこかでいつかまたフルキーボードの環境も使いたいという思いはあって、ノートPCのキーボードのキートップの一部が破損したりしたことをきっかけに、使っていた富士通FMVのUSBキーボードをつないでみたら問題なく使えたので、様々な外付けキーボードを試すようになった。
実際、外付けキーボードは自作機のためのもので、ノートPCにも使えるとは思っていなかったのである。それは、本体キーボードと競合してしまって、動作しないと思い込んでいたからである。
しかし、以来ずっと、今もノートPCでも外付けのキーボードを使うようにしている。
それでもまだその頃までは、フルキーボードとコンパクトキーボードの違い程度にしか、その善し悪しを決める要素としては考えていなかったが、ストロークの深さの違いやキースイッチの違いだとかを意識するようになるのも、概ねその頃からなのである。
結局、行き着いた先としてRealforceを使っている。HHKBも併用している。
形状としてはテンキーレスで十分と思ったが、やはりテンキーもあるほうが良いと思い、テンキーを別に用意して、左側配置で使ったりもしている。
それに加えて、外付けキーボードを意識した頃から、和文入力の方法についても、どのようにしてか、普通のローマ字入力よりも効率が良い方法があるのではないかと考えるようになり、最初はAZIKから入りそれを何年か使った後、ACTのようにDvorak配列ベースで打鍵できないかと考え、実装方法を探ってみて、結局はそういう既存の入力方式をベースにしながら自分である程度独自に考案した方式に乗り換えてしまった。
すなわち、通常のローマ字入力とは全く違った方式により、和文入力ができる。むしろ、その方式のほうで慣れてしまったので、ローマ字入力は一般の人程度の速度でしかできなくなった。速度が全てというわけでもないだろうが、打鍵の効率を考えて、自分の方式が最適だと思っている。
二重母音や撥音節などにキー定義を割り当てて、ローマ字入力より打鍵数をかなり減らしているほか、そもそもDvorak配列ベースなので母音が左手ホームポジションに集積されているので、左右の交互打鍵に近い操作になり、入力定義そのものが整理しやすくそのことでの効率が良いのである。
きちんと比較はできていないが、ローマ字入力よりも打鍵数が少ない分、同じ速度なら多量の文字入力ができるということである。これは、ローマ字入力でも年齢と共に入力速度が落ちていくとした場合にも、その入力効率を一定に保てるという効果も期待できるのである。