ISDNのターミナルアダプタといえば、ほとんど多くの人の場合もうだいぶ懐かしい物になっているだろうけれど、多分今でもISDN回線しか使えないという地域もあるに違いない。
そういう話ではなく、自分もISDN回線だった頃はあり、NTTから購入したTAを当初使っていたが、何かの関係でNECのAtermを使うようになり、しばらくそれを使ったのを思い出す。
Atermというブランドは今でも健在で、今でもTAがある他、メインは無線ルータである。自分も少し前からメインのルータをAtermにしている。
無線ルータといえばおそらくバッファローのそれが最も有名であり、最もシェアが高いと思うが、他のブランドの物も選択肢としてあっていい。その一つがNECのAtermだ。
自分が使っているのは8500Nだが、この機種が実に安定性がよい。有線側はGiga対応という事もあり、普通の家庭においては十分高速な通信環境のベースとして使用する事ができる。突出したアンテナのないスリムなデザインのボディも感じがよい。
機能的に比較すると、ブラウザからの設定画面はバッファローのほうが感じが良く、それが全てというわけではないが、設定項目などもバッファローのもののほうが細かい。ログもバッファロー機のほうが細かいなどの違いはあるが、基本機能としてはいずれの機種であっても、おそらく何も問題はない。
ただし、同性能の他メーカー機種と比較すると少々高価かも知れない。
さらに一つ気になるのは、Atermシリーズは、全機種WPA2に対応していないという事である。暗号化はWPAまでであって、WiFi認証も受けていないようだ。最新の機種、最上位機種でも同じ。技術的な問題なのか認証を売るためのライセンス料的な問題なのか、どういう事情でそうなっているのかはわからないが、バッファローはもちろん、コレガやプラネックスなど他のメーカはだいたい例外なくWPA2まで対応している状況なのに、素人目には性能が低いように見えてしまう。
実際の所、WPAとWPA2の違いはあるのだろうが、その違いを意識しなければならない場合は普通はあり得ず、実質上の問題は何もないとは思うのだが、最新技術に正式対応していないという事で気分的に気になる場合もある。
NECはPC98シリーズという独自仕様のコンピュータを送り出していたメーカーでもあり、そういう独自性を固持する体質があるのかもしれない。価格が高いというのもPC98の時代のそれと少し似ている。
Atermのブランドも、製品としても非常に良いものだと思うので、個人的にはその点が惜しいところなのである。