AOUR配列の口頭説明

投稿者: | 2013-02-04

あまり配列には興味はない人たちにAOUR配列を説明する事を想定して原稿を作ってみた。
こんな感じ。

本日は、キーボードの日本語入力のカスタマイズについてお話しします。

普通、日本語入力を行うときは、皆さんほとんどがローマ字入力で行っていると思いますが、その他にもかな入力や、少し昔のワープロ時代には親指シフト方式なんていうのもありました。
実はこれ以外でも入力方式というのは多数ありまして、打鍵の効率をわずかでも向上させるために今もなお多くの方が色々な方式を考案されています。
私も通常とは違った入力方式を使っています。これは、他の入力方式、配列をベースにしながら自分で独自に考案したものです。

ローマ字入力のように、子音プラス母音の打鍵で文字を入力していくスタイルですが、大きな特徴は、日本語文章での頻出パターンにそれぞれ定義を割り当てているという点です。
その一つが、二重母音と呼ぶパターンです。これは、「かい」「そう」「しゅう」「てい」「るい」のように、ローマ字で綴ったときに母音が連続するパターンの事を言います。また、もう一つ、撥音が続くパターンです。撥音とは「ん」のことですが、この「ん」が2音目に続く、「かん」「くん」「ちゃん」「めん」「ほん」等ようなパターンのことを言います。これら2種類の頻出パターンは合計で250くらいになりますが、これに一つずつの定義を割り当てているわけです。

たとえば、「上昇志向」という語を入力することで考えてみます。
お配りした資料の●番にありますとおり、「じょうしょうしこう」はかな入力では濁音と拗音にシフト操作を用いながら10ストロークで入力します。ローマ字入力ではヘボン式か訓令式かにより違いますが、12ないし14ストロークです。ところが私の方式ですと、「じょう」「しょう」「し」「こう」の四つにそれぞれ2ストロークの定義を割り当てていますから、計8ストロークで打鍵できるわけです。
これ以外でも、拗音の入力や他の頻出のパターンの幾つかに個別の定義を割り当てていて、打鍵数は確実にローマ字入力よりも少ない結果となります。「上昇志向」の例のように、かな入力よりも少ない場合も多くあります。
ところで、「上昇志向」は、「CWBW;GIW」と打鍵しますが、これはアルファベットとして見た場合は全く無意味な文字列です。しかしながら、キーの位置では実は体系的に整理されています。

資料の●番を御覧下さい。これは、私の配列の盤面図です。最も良く使う母音の「AIUEO」がどこにあるかを見て下さい。順はアオエウイ、ですが左手中段のホームポジションに綺麗に5つ並んでいます。二重母音と撥音続きはその上下の段に同じ母音に関係するキー順で整理しています。子音キーに続き、これらの母音・二重母音・撥音続きキーを押すことで入力するようにします。
例えばカ行の子音は「I」の位置ですが、「I」に続き「D」を打鍵すると清音の「け」、「I」の次に「D」の上の二重母音キー「E」を打鍵すると「けい」、同様に「D」のすぐ下の「C」を続けて「IC」と打鍵すると「けん」が入力できるわけです。

これらのキーの位置は、Dvorak配列というキーボードにほぼ準じたものです。この配列ではそもそも母音がこのように左手中段のホームポジションに集中していて、子音はほとんどが右手側になりますので、左右交互に打鍵できるなど、日本語入力の割当にも都合がよいものです。Dvorak配列キーボードをベースにした、同様のアイディアの配列も私が考案した以外にも多数あります。
他の類似配列もそれぞれ異なる特徴がありますが、いざそういう配列を使おうとすると、キーボード自体を特殊なものにしたり、特殊なカスタマイズが必要だったりと、そういう導入のハードルも高いものも多い状況でした。

私の方式では、ATOKの定義ファイルを追加して切り替えるだけで使うことが出来ます。元に戻すのも簡単です。Google日本語入力や一部の配列定義カスタマイズソフトにも対応しており、特にATOKに対応している方式は少ないので、そこはひとまずセールスポイントだと思います。
また、この方式は、打鍵数が少なくなるよう整理しましたので長文入力時の疲労軽減が図られるのと、結果高速に入力できますので、キーボードでの文字・文章の入力のハードルがずっと下がると思っています。
一方で、覚えるためにはキーの刻印を見ても意味がありませんのでブラインドタッチができるようになることが必須であったり、しばらくはローマ字入力との多少の混同があったりという欠点もあります。

私の場合の例で言いますと、1日2時間以内の練習で基本的な配列を覚えるのに2日あれば十分でした。その後、7日で初心者キーボードレベル、10日目くらいにはゆっくりの手書き速度を超えました。20日目くらいにはローマ字入力から完全に移行し、その時の速度はローマ字入力の自分の最速時の1/2程度でしたが、数ヶ月も経つともう元の入力方式には戻りたくなくなり、今は既に6年以上経過して完全に快適な入力ができるようになっています。

ATOKやGoogle日本語入力の定義ファイルはインターネットでも公開していて、また配列定義ソフトには定義ファイルを収録してもらっているものもあるくらいで、数は少ないですが興味を持っている人にはわずかながら知られているようです。
以上、あまり一般には強くおすすめできるようなものではありませんが、興味を持ち万が一詳しく知りたいという方が居りましたら、さらに詳しい解説文書も用意していますので、声をかけてください。
以上です。

なるべく普通の人でもわかってもらえそうな表現にしてみたつもりではある。

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