HHKBと無刻印

投稿者: | 2022-06-25
MyHHKB

HHKBは、キーボードに興味を持つ人なら知らない人は居ないというくらい有名な高級キーボードである。
US配列のモデルでは、キートップに刻印が一切無い、無刻印モデルがあることも特徴的である。ただし最近、JIS配列モデルも無刻印キートップが発売になったらしく、US配列でもJIS配列でも無刻印キートップを使うことができるようになった。

無刻印キートップのモデルが出たのは、2003年に発売開始になったProfessional 2の頃からのようである。自分が1台目のHHKBを購入したのが2005年末頃で、その際にはUS配列そのものが初めてだったし、HHKBも配列が特殊な部分があり、無刻印を選択するには至らなかった。墨色モデルは黒色昇華印刷で、一見無刻印に見えるようなところもあったので、そのモデルを選んだのであった。

すなわち、当初HHKBを購入する頃から、無刻印の存在は意識していた。
ブラインドタッチはできたので、少なくともアルファベットだけなら確実に無刻印で使いこなせる自信はあったが、数字や記号、そのほかの機能キーに至るとどうか。まだその時点では使ったことがないUS配列となるととても無刻印を使いこなせるという自信はなかった。

実用的な面では無刻印の利点はほとんど考えられないが、無刻印を使っていることでキートップ刻印の有無に関係なく打鍵できる、つまりブラインドタッチができるということをアピールできることは、まず間違いない。
その後に切り替えた入力方式のAOURではQWERTYのアルファベットはもう関係なくなったので、尚更、無刻印キーボードも活きてくるのである。

コンパクトな60%キーボードでの打鍵は最初のHHKBを使うことですっかり慣れたのだが、最初のHHKBはどうにも打鍵感が堅い気がして、基本的にはRealforceを使うようになったので、新モデルなどがリリースされても新しいHHKBには特に興味を持たずにいた。
それが、Bluetoothの無線で接続ができるようになったり静音モデルが出ていたりということで評判も良く、改めて考えて昨年ようやく2台目のHHKBに手を出した。
その2台目HHKBでは、いよいよ無刻印モデルを選択した。

想像以上に打鍵感がずっと良好であって、無刻印も問題なく使えて、とにかく快適になった。HHKBは、特に理系作業というか、コーディングなどをする人に特に選ばれている感覚があり、文系の文章入力作業を中心とする人では、あまりHHKBを選んでいる人は少ないようにも感じるが、実際には文系理系関係なく、キーボードを使って高度な仕事をするような人はHHKBに興味を持っているのではないか。
自分もコーディングとしてはHTMLを僅かに希に作業するくらいだが、基本はこのような文章書き作業であるので、十分にHHKBを使いこなせているかというと、そうでもないかも知れない。

無刻印モデルは「エキスパートの証」とされている。キーの刻印が無くても使える者にしか使えないからである。ただ、ブラインドタッチができるという人であれば、無刻印モデルを使うハードルはそんなに高くはない。
自分も数字や記号はかなりブラインドタッチが怪しい状態でもあるが、問題なく使えているからである。

HHKBで困ること

HHKBは基本的に快適であるが、少しも欠点がないかというと、そんなこともない。キー数が少ないせいで不便なところはある。
その最たるものは、US配列モデルではカーソルキー(矢印キー)がないことである。カーソルの自由な移動にはやはりFnキーとの組み合わせではないカーソルキーは必要であると思う。HHKBはFnキーに依存するので、小指への負担が大きいということになるし、何より、やはりFnキーとのコンビネーションで操作するのは操作性が良くない。

Ctrlキーの位置がAの横にあるのは合理的で、標準もそうあるべきと思うのであるが、BSキーの位置が標準的なキーボードの位置と異なるのも少々困ったところであるし、そのキーが初期値ではBSではなくDELとして機能するというようなことも、やや困ったものである。

独立したファンクションキーがないというのも困るところである。Fnキーとの組み合わせで実現はできるが、単独押下で実行した方が良い動きも沢山ある。
カタカナ後変換などは、多くの人は変換操作においてはF7キーを多用すると思うが、HHKBだとそれをするにはFnキーとの組み合わせになるので厄介である。
これが、例えばCtrl+F7などのキー操作だと、HHKBではCtrl+Fn+7と3つのキーを押下せねばならず、こういう操作はほぼ不可能である。

それを克服して、カーソルキーを全て使わないようにするとか、カタカナ後変換はCtrl+Iで行うようにすべきとか、HHKBで押下しにくいキーバインドは変更するなどができる、そういうアプリケーションならまだ良いが、そんなものばかりとは限らないので、やはり普通の配列のキーボードと併用することになって、HHKBだけで全て運用していくには無理があると感じている。
自分の場合においても、HHKBは長文の文章入力などの作業の際にRealforceと併用して使用するという程度で、これがメインのキーボードという位置付けにはしていないのである。
全てのアプリケーションでHHKBが全て良い、とは限らないのである。