ISDNのターミナルアダプタの時代からNECのネットワーク機器のブランドであるAtermは、現行7機種の無線LANルータを発売しているが、現在最も高度な暗号化・セキュリティ方式であるWPA2-PSKには対応していない。
先日更新された「Atermシリーズ無線LAN製品のセキュリティについて」では、WPA-PSK(AES)がWPA2-PSK(AES)と同等の暗号化強度であることを随分強調している。
WPA2-PSKは、WPA-PSKの上位規格で、Windows Vistaの無線LANクライアントでも標準的に対応している。親機・ルータではBUFFALOはもちろん、アイオーデータ、コレガ、Planexなど、無線LANルータの主要メーカが全て対応しているのに、NECのAtermだけは頑固に対応していない。
NECがWPA2-PSKに対応しない理由は定かではない。技術的にできないという事は無さそうだ。認定を取得するのにライセンス料がかかるなどの事情があるのかも知れないが、我が国を代表するような超大手ブランドであるNECがそんなコストをけちるのもおかしい。
実際の所、AESの暗号化方式に対応しているのなら、WPA-PSKで強度的には十分なのであろう。Windows XPでは更新パッケージを適用しないとWPA2-PSKに対応しないので、どんな機種でも対応が可能なWPA-PSKまでの対応で十分としているのかもしれない。
しかし、実際にそういう事情があったにしても、他の全ての主要メーカの製品で既にWPA2-PSKに対応している現状では、WPA2-PSKに対応していないという事で、セキュリティが弱い製品であると認識されかねない。無線の暗号化について少し知っているユーザであれば、事情の説明も通用するだろうが、一般の顧客は、単にその機能に対応しているか否かという事だけなので、比較されるとどうしても悪い製品であると思われることになる。
恐らくファームウエアのアップデート程度で対応可能と思われるので、早期に対応することが必要だと思うのである。