これまでずっと、漢字を調べるには漢和辞典だと思っていた。
それは多分それで間違いは無いのだろうけれど、漢和辞典の主な用途は漢文の読解であるはずで、「尋め行く」のような読みを調べる程度であれば国語辞典で調べることはできないのだろうか。
まずは手元にある三省堂国語辞典(第七版)を開いてみる。
三国は、巻末の付録として漢字・難読語一覧がある。これは漢字の音読み順になっていて、それで「尋」という字を「ジン」の読みで調べる。
そうすると、まさにそこに「尋め行く・とめゆく」という読みが掲載されている。
三国以外の国語辞典の場合はどうかということで、新明解国語辞典(第七版)でも調べてみる。この辞書は、見出し語本文ページに簡易な漢字説明の部分がある。「尋」なら「じん」の場所に、他のジンと読む漢字とともに掲載されている。無論「尋」も掲載されているが、訓読み難読語は無く、ここでは読みはわからない。
新明解は巻頭に漢字索引があるが、ここは漢和辞典と同様に部首で探す。「寸」部9画で「尋」を探すと「尋行く・とめゆく」があった。三国とは送り仮名表記が違うのも面白い。
もう一つ。岩波国語辞典(第七版新版)でも調べてみることにする。
この辞書も新明解同様に本文見出し部分にその読みの漢字が掲載されている。「じん」のところで「尋」を探す。漢字の説明といくつかの熟語が説明してあるが、ここには「尋め行く」はなし。
巻末に「漢字の読み方の手引き」というのがあるので、ここで「寸」部で「尋」を探すと、「→ジン」とあるだけで、これはつまり本文中の「じん」の場所にある漢字説明を参照しろということなのだろう。岩国では漢字検索から「とめゆく」を導き出すことは出来無かった。
ただし、見出し語としては「とめゆ-く(尋め行く)」はあった。
ついでに、漢和辞典類ではどうか。手元にある漢字源(第五版)で調べると、これも「とめゆく」そのものの読みは掲載されていないが和訓として「と-む」があった。
辞書により掲載方法は様々なので、どれが良いとは言えないが、訓読みをする難読語に関しては三国が調べやすいのかという印象である。