6、7年前までは、ノートPCに外部ディスプレイを接続するという使い方はあまり考えていなかったのだが、撮影した写真の編集や閲覧などの作業をもっと大きな画面で見たいという思いはあった。19インチ程度のものならモニターもだいぶ安く入手できるようになったと聞いて、当時、早速三菱の液晶モニターを購入した。パソコンラックの正面にモニター、パソコン本体は上の棚か横の別のデスクなどに乗っけて、外部ディスプレイをメインにした使い方に変えたのがその頃だった。
ノートPCの13インチ程度と比較すると、やはり大きな画面の環境は快適であった。動画の閲覧なども迫力があるし、スタンダードな安価帯のものではあっても何より名高い三菱の製品であるということで、発色についても概ね満足していた。
しばらくそういう環境で使っていたが、写真の編集をするならもう少し大きく、20インチ以上はあった方が良いのではないかと思うようになった。目の疲労対策や反射の防止を考えるとノングレアのパネルの製品にするのが一般的なのだろうとも思い、2台目も同じ三菱の23インチのスタンダードな製品を購入した。23インチという大きさは自分の環境のデスクに配置するのに丁度良い。解像度はFHDで、その頃からだんだんと一般的になってきたFHDサイズの動画を全画面表示で閲覧するのにも丁度良かったし、余計な反射をしないノングレアのパネルであることも満足していた。
使っていたVAIOはVGAの他にHDMIの出力を備えていたので、接続はずっとHDMIで行った。
これまでそういうディスプレイをメインに使ってきて、正直なところ特別大きな不満というのがあったわけではないが、これも安価帯のスタンダードな製品で、TN液晶でバックライトもまだ蛍光管であるものだった。LEDバックライトの製品がだいたいこれを購入したすぐ後くらいから一般的になってきていた。
三菱のディスプレイのこの製品はベゼル下部に電源を含めた操作スイッチがあるものなのだが、時々電源ボタンの接触が悪いのかオンオフが思うようにできないという現象も発生したし、電源ケーブルの接続口が希に緩くなってしまって電源が入らないということもあったりした。
今後もディスプレイは三菱にしようと思っていたが、少し前に三菱がディスプレイ事業から撤退してしまったので残念だがもう選べない。国産ブランドの製品を中心に考えていたが、満足できる性能を備えるものとなると価格もそれなりであり、しばらく買うか買わぬか、どれにすべきかと躊躇していたが、このたび、PCを新調したのに乗じて、思い切ってディスプレイ環境も新しくしてみようと調べ、行き着いたのEIZOのEV2450であった。
23.8インチというサイズで、これまでより少しだけ大きくなるが、その分ベゼルが僅か1mmという薄さであるので、配置する環境に収まるだろうと思った。IPSパネルでLED液晶で、操作スイッチはタッチ式という。カラーキャリブレーションなどができるモデルではないが、昔から高性能で評判の良い旧ナナオのEIZO製品であるし、Webなどでの評判も良かったので、あまり迷わずに決めた。新PCの環境では、VGAかディスプレイポートであるが、ドックに載せた状態ではHDMIでの接続も可能なので、ディスプレイとしてもHDMIを含めてそれらの接続に対応できることも要件とした。
実際購入して配置してみると、極薄ベゼルのために大きさは23インチのモニターより少し小さいほどであって、無論きちんと所定の場所に収まり、わずかだが余裕さえできた。スタンドは可動範囲も広く、左右の向きと上下方向のシフトスライド、ティルトの角度など調整もだいたい自由にできる。高さの調整も自由で、サイズぎりぎりだったラックの棚を付け替えたりしなくても良かった。機能的には縦置き型に回転させることもできるが、自分はひとまず横方向のみで使うつもりである。
極薄ベゼルは1mmと、液晶の非表示部も4mmほどはあるが、それでもフレームレスと言えるレベルだろう。本来はマルチモニター環境で使用する時に都合が良いような配慮もあるが、単純にデザインそのものとして見た場合でもスマートである。
前面下部にある操作スイッチは静電方式とのことだが、金属端子もなく「|」のマーキングがしてあるだけの位置をタッチすることで動作する。可動部が無いので、おそらく接触不良も起こりえないと思う。ブラックのモデルの場合だけかもしれないが、指で触れる部分は皮脂が付いたのが少し目立つかもしれない。
全面下部にはほかに明暗を検知するセンサーと人感センサーが付いている。
電源ボタンもこのタッチ式であるが、背面の電源ケーブル接続口のそばにハード的なメインスイッチがある。出荷時にはオンになっているようで、これを知らずにオフにしてしまい、初回接続時に少し困惑したw
つまり、このスイッチは明示的に電源をオフにする時など以外、電源ケーブルの抜き差しの必要があるようなときでも触らなくても良さそうなものなのだろうか。
USB3.0のポートもあり、これは背面に2ポートのUSBハブを備えているものだが、位置的に付け外しを頻繁に行うのは難しい場所でもあるので、常時使用するキーボードやマウス、あるいはUSBスピーカーなどの機器を接続するのが良いかもしれない。
アップストリームポートでPC本体と接続することになるが、USBで接続しているとPC側で専用のソフトウエアでの設定操作やアプリケーションごとのモード設定などが可能になる。
左右1Wのスピーカーも付いているようだが、これはおまけ程度の機能で期待無用と言われているようだ。別に外部スピーカーを使っているので、試聴していない。
発色は綺麗と言ってしまえばその一言で全てであるが、コントラストがはっきりして黒が引き締まっていうという印象があった。その分若干暗部が黒く潰れているような気もしてこれが正しい発色なのだろうと思い、デフォルトの設定を基本にしてしばらく使ってみようとも思ったが、レンジ拡張の設定をオフにすると、だいたい意図通りの発色がされるような感じもしている。
発色やコントラストに関する設定項目は特別多いものではなく、この点では三菱のディスプレイのほうが少し調整がしやすいと感じたが、そもそもそういう設定は必要がないということなのかもしれない。
自由に設定できるモードのプリセットが二つあり、そのほかsRGB、Paper、Movieの各モードがあり、色温度などのそれぞれで最適な設定がされている。Paperモードは色温度が低くなり、ブルーライトもカットされて、要は真っ白な画面のどぎつさを押さえて文書などを閲覧するのに適したモードとなっている。
応答速度も速く、動画の閲覧もスムーズで、通常の動画再生の範囲で不満を感じることは無いと思われる。オーバードライブの設定を強にすることで更に残像感を低減することができる。
このシリーズは省エネ機能も充実しているモデルである。周囲の明るさに応じてブライトネスを指定範囲で自動調整する機能や、入力信号のレベルに応じて明るさが調整される機能、人感センサー機能などがある。これは概ね良好に動作し、特に明るさに応じて調整してくれる機能は良い。
入力信号が検知されない場合や人感センサーで無人を検知した場合などは、一定時間経過後にモニターがパワーセーブでスタンバイ状態になる。更に指定時間経過後は自動的に電源がオフになるというのも良い機能だ。
特にこの機能のせいか、まだ使用時間は僅かなのであるが目の疲れをあまり感じないような気がしている。
この製品は、海外メーカーの普及品のものと比較すると倍程度の価格がするというものではあるが、その分ディスプレイとしての基本性能や基本的な発色性能が十分に信頼できるものであって、品質もしっかりとしているものであるので、高い買い物であるという感じはしない。保証は5年とのことであり、無論その年限にこだわるものではないが、少し長く付き合いたいと思えるディスプレイである。