今でも使われているのかどうか。高校の時の国語の授業の資料、教材として「国語便覧」なる厚い書籍を買わされたのを覚えているだろうか。現代国語の文法や四字熟語、古典文学や漢文の系譜、著名作品の概要などがまとめられているサブテキストである。
この一冊があれば、高校国語に関して知っておくべき事が網羅されていて、習得できればかなりの知識になる。自分もこれを手にしたときから資料としての価値に興味を持ちいつかはきちんと読もうと思いつつ、結局ただ所有していることで満足する辞書や時点の類のように、本棚に押し込んでしまっていた。それでも、他の教科書類は箱に入れて押し入れの奥かどこかへ追い遣ってしまってあるのだから、地図帳とこの国語便覧はだいぶ待遇が良い方だ。
先日、ふと思い出して引っ張り出してきて時々読んでいるが、改めて開いてみてもどのページも内容が興味深いもので、こういうことを知識としてちゃんと持っていたらもう少し知的な趣味も持てるのではないかと思う。
国語便覧は、基本的には高校生の学習参考用なのであろうが、我々大人が持っていても十分に役に立つ。自分が持っているものは古いので新しい常用漢字には対応していない。国語の文法の解釈にも色々あって、学校文法だけが正しいわけではないなどもあるが、それでも日本人なら普通知っているべきこと、常識として知っていて良いことが網羅されている。
きちんと読みたいという気持ちもあるが、多分くまなく読むのではなく、時々開いて関連を調べるような使い方のため、当面はいつでも手に取れるよう国語辞典の近くにでも置いておくことにしたい。
ところでこの記事の原稿は、コクヨの原稿用紙に中字の万年筆で書いた。インクはPILOT色彩雫の月夜であるが、このインク色と字幅の感じが、茶色の罫線とのコントラストが丁度良く、書いていてもWZ EDITORに入力するのに読み返してみても、かなり良い組み合わせである。