電卓は基本的には電気屋で売られているのでずっと電化製品であると思っていたが、電力を使う文具であると言って良い。ついでに言うと電子辞書も電力を使う書籍である。
確かに昔の電卓は小さな手帳型もACアダプタを接続してコンセントから電源の供給を受けて動作させていたはずだ。今も大型のものなど一部はそういうものもあるが、基本的には太陽電池とボタン電池である。
一般的な電卓の役割は計算をすることで、算盤と同じだ。算盤は文具であるから電卓も文具であって良い。
安価な物から高価な物まで様々あって、どれを使っても同じ計算結果を得られる点は、筆記具に似ている。どんな筆記具を使っても同じ文字や文章が書ける。安価なボールペンで十分という人も居るし、高価な万年筆を好む人も居る。
扱いもそういう文具とだいたい同じで、机の引き出しには文具と共に入れられているし、机上でも文具と並んで置かれている。
そう考えると、多くの人が使っている普通の電卓ではなく、もう少し拘りを持ってみたくなるものである。
なのでこのところ、周りの人がどういう電卓を使っているのか気にしてしまう。好んで使っているのか支給されたものをただ使っているのか知らないが、一部はキーボードの配列の様に好みが分かれていることもある。採用になってから10年も15年も同じ機種を使い続けているという人も居るし、就職前の商業系学校時代からの機種をずっと使っているらしい人も居る。この機能がついていなければならないとか、この配列でなければならないとか、この大きさでなければならないなどの好みもあれば、逆に拘らないという人も居て、便利なのでテンキー電卓を使ってPCに接続しているとか、関数電卓の小さなキーで一般的な計算も間に合わせていたり、私物スマホ・携帯の電卓を使っていたり、あるいはExcelがあれば特に電卓は要らないのではないかと考えている人もいたりする。聞いたこともないようなメーカーのものを使っていたり、玩具のような電卓を使っているという場合もある。
数は少ないが中には自分で購入したと思われるきちんとした良い電卓を使っている人も居て、それはキータッチと配列、あるいは機能に拘りがある人のようである。
四則演算と税計算くらいは誰でも使えるとして、メモリー機能、GTメモリ計算などの使い方は知らない人も多いようである。
ただし、そういう機能を知っているかどうかにも関わらず、使っている電卓が良いから特別よく仕事ができる人というわけではないようだ。多少の差はあるかもしれない。これもまた、万年筆を使っている人が仕事ができるというわけではないのと同じである。
良い電卓だからといって特別仕事が早くできるというわけではない。
いつの間にか自分も、筆記具と同様に様々な実務電卓を集めてしまっているが、仕事では最上級クラスとまではいかなくても、それなりの電卓を割り当てて使うようになっている。