US配列選択の雑感

投稿者: | 2019-07-24

PCのキーボードは、英語キーボード、US-Ascii配列、USキーボードなどとも呼ばれるUS配列のものをずっと使っている。
最初はJIS配列のキーボードだったが、US配列を使うようになって快適なので、そうしている。だが、国内標準はJIS配列なので、US配列は絶対に使わない、使うべきではないと主張する人も少なくない。
JIS配列は日本の標準なので、国内向けに販売されているPCのキーボードは基本的に全てJIS配列である。また、ソフトウエアの説明、IMEの説明などもJIS配列が基本で、US配列による操作の説明もあるというものは、まずない。キーボードを買う場合も、製品として販売されているのはJIS配列キーボードのほうが圧倒的に種類が豊富である。
US配列を好んで使ったとしても、他のPCはほぼ全てがJIS配列だったりすると、別のPCに乗り換えたときや、他のPCをサポートなどで触るとき、共用PCで操作をする時などはJIS配列のものを使わなければならない。
JISかな入力は、JIS配列で使えるように割り当てられているので、これがUS配列だとキーの配列が異なる関係で、JISかな入力ができない。並んでいるキー数が少なくて、全く別の場所にかなキーがあったりするので、これはよろしくない。
US配列ではIMEの切替キーである半角/全角キーも無く、変換、無変換もないので、これらに最初から割り当てられている機能は使えない。
記号の配列もJIS配列と違うし、円記号もどのキーに割り当てられているか刻印がないのでわからないかもしれない。何より、US配列は使うとき、JIS配列から切り替えるときに設定の手間もかかる。
そういう、US配列のデメリットを強調して、US配列は使うなという主張もある。その反面、US配列にメリットも多い。
たとえばキー数が少ない、特殊な形状のキーがない、かな刻印がないなど見た目がスマートである。Enterキーもホームポジションから近く、ストレスが少ない。このEnterキーはJIS配列のより小さいことをデメリットという人もいるが、位置的にはより小指に近いので打鍵しやすく真っ直ぐ横にだけ小指をスライドすれば良いので、それが苦にはならない。
括弧のキーなども始め括弧と終わり括弧で横並びなので感覚的に打鍵しやすい。
スペースバーが大きいこともメリットであって、和文入力の変換キーとして多用するので、右手でも左手でも親指で難なく打鍵できる。アルファベット文字の入力に都合が良いように配列されているので、ローマ字入力で使うならキーや機能が不足することもなく、問題ないのである。無論、かな刻印はない。
海外英語圏での標準配列であるので、世界的な視点で見た場合は製品の選択肢も多く、むしろこの配列のほうが一般的ということになる。
中上級者が好んで選ぶ物であるので、これが使えると自分もその仲間に入ることができると思えるのである。
デメリットとされている部分についても、考えるとその対応策がある。キーボードの選択肢として、上級なキーボードでは必ずUS配列のタイプも用意されていて、困ることがない。前述のとおりJISかなを使わなければキーの不足という問題はない。IMEの切替についても、代替キーが用意されているし、それで不都合があればIMEのカスタマイズ機能でCtrl+スペースなどに割り当てることも出来る。キーボードをUS配列に切り替えるときの操作と言ってもその1回だけである。
US配列は、以上のような特徴を理解できる人が使うべきものである。初心者が最初からUS配列に手を出すと他の標準と異なるので満足できずにJIS配列に変えなければならなくなるかもしれない。
US配列を使うことで、パワーユーザとして見られる部分もあるので、そういう感じを味わいたいというニーズにもこの配列は適しているかも知れない。
JIS配列はかな入力のため我が国のオリジナルなのだからその配列のほうが優れているという意見もあるのかもしれないが、ローマ字入力も行段に分け体系的に整理されこれも入力方式は我が国のオリジナルである。ローマ字入力ではどちらのキーボードも差異はないが、今の主流はローマ字入力であり、US配列もローマ字入力に適しているのだと考えると、一方が優位ということもないように思えるのである。