キーボードの盤面には和文全角ではほぼ使わない記号がある。
「`」アクサングラーブ。全角どころか半角でも使い道がよくわからない。
「^」アクサンシルコンフレックス。全角では使わない。
「_」アンダーバー。全角では使わないのではないか。
「|」縦線。全角で使うことはほぼないと思われる。
「;」セミコロン。全角での利用場面が思い付かない。
「:」コロン。これは時刻表記で使うことがある。
「’」↓
「”」シングル、ダブルとも引用符は全角では方向が同じなので、使わない。
和文では〝これ〟とか“これ”、‘これ’を使う。
AOURでは、右手小指ホームの位置にあるセミコロンのキーをサ行子音キーとして使い、JIS配列ではその右横のコロンのキーに長音符号を割り当てているし、US配列ではコロンとセミコロンが同一キーなので、その横のシングルクォーテーションに長音符号を割り当てている。セミコロンは単独入力においては全角セミコロンを出力できるが、コロンやシングルクォーテーションはIMEオンの状態で単独出力することができないようになっている。
コロンは自国表記などで希に全角でも使うことがあると思われるので、直接出力できないのは本当は困る。「ころん」と入力して変換して出力するようにしたりしている。
他にも上のような、全角では使わないと思われる記号が、キーボード盤面上にはあり、AOURにおいてもこれらのキーは有効活用として定義を割り当てたいところである。
ただし、使わないとしてもホームポジションとその上下段、あるいは付近にないキーについては割り当てても指の移動範囲が増えるだけで効率化にはあまり繋がらない。
今回、このうち、「”」ダブルクォーテーションに着目した。
このキーはJIS配列では「2」のキーのShiftだが、US配列では長音符号を割り当てているシングルクォーテーションのシフト操作のキーである。
長音符号に割り当てているキーとの関連で、このキーにも割り当てができると考えた。ただし、現在のAOUR(AOUR)では既に割当数が540に達していて、ATOKの限界である550に迫っているので、体系的な多数の割り当てはもう困難である。
そう考えながら、ふと「長音+撥音」の典型がこのキーと関連もあり、それなりに外来語や擬音語などで使う可能性があるのではないかと思い、これに割り当ててみることにした。
つまり、ダブルクォーテーションに「ーん」を割り当てるのである。「長撥音拡張」などと呼んでみることにする。
(ポップ)コーン、(ヌード)シーン、ターン(テーブル)、(セキュリティ)ゾーン、(カルロス)ゴーン、などそれなりに使う用語がありそうだ。
ただし、これが機能を果たすのはUS配列の場合だけであって、JIS配列にはほとんど恩恵はない。JIS配列においては、この位置のシフト操作では「*」アスタリスクであるので、これは全角でも使うことがあると思われるため、そのまま割り当てるのには難がある。
JIS配列においては、一段上のPキーの右横の@キーのシフト操作、アクサンシルコンフレックスにこの割り当てを施してみると良いのかも知れない。
こうなってくると、US配列とJIS配列でこの辺りの部分の割り当てが異なってくるので、これまでは両方の配列のキーボードに対応した定義としていたが、二つ分けてそれぞれ考えた方が良いような気もしてきたのである。
ただし、そうなると管理すべきものが増えるので、なるべくなら一つに統合したような感じで運用はしたい気もする。
そのように分けるかどうか、定義を公開するのはもう少し考えるとして、自分としてはこのように長撥音拡張を加えたもので当面運用をしてみるつもりである。