キーボードへのこだわりを持った時期に前後して、入力方式も普通のローマ字入力ではないものにしてみたいと思い、AZIKをしばらく使い、更に入力効率が良さそうなACTをATOKで実装するために再構成しながら作成したのが我がAOUR配列である。使い始めてもう9年以上になる。
AOUR配列は、ベースとしたACTと同様に、Dvorak配列にほぼ基づいている。Dvorak配列のキーボードでのローマ字入力に加え、各種の拡張入力方式を採用している。この形の入力方式になる他の配列としては、ACT、ACTAR、JLODなどがある。
AOUR配列は、ATOKやGoogle日本語入力で簡単に実装ができる。何しろ、ATOKで実装することを前提で作成したのであるから。そのために制約もあるわけでが。
ところで、そういう配列をカスタマイズして使うという人がどれだけいるかというと、根拠となる調査結果があるのかどうか知らないが、かなり少ないということは間違いない。
配列のカスタマイズは、まず方法を知らない人も多いし、新たに配列を覚えるのはかなりの苦労を伴うことが想定される。普通のかな入力やローマ字入力を覚えてしまった後に、あえてそれを改善したいという気持ちは起きないのが理由だろう。今の入力方式を覚えて今の入力速度に達するまでに要した時間を考えると無理もないし、不満もない。
新しい配列を覚えたとして、ローマ字入力と同じレベルで使えるようになるまでにどれだけの時間を要するかと考えると、乗り換えてみようとか配列を考えてみようとする人がほぼいないというのも頷ける。それはそれで問題はない。
そもそも、配列を変更して使おうとする人自体が超少数派と思われる状況であるので、そのうち我がAOUR配列を使う人となると、ほぼ自分くらいしか考えられない。実装方法などにおいて比較的簡単にその環境を作り出すことができると思うのだが、同じ系列の入力方式においても、おそらくACTやJLODなどのほうを選択する人の方が多いのだと思われる。配列をカスタマイズしてでも使おうとする人は、簡単に実装できるかどうかではなく、その定義が便利なものであるかどうかというところのほうがポイントであって、実装のために多少手間がかかっても惜しまないのかもしれない。
あるいは、そういう人は様々な配列を試し研究する人が多く、実用しようという人はまた更に少数であるので、普段はローマ字入力などを主として、特定の配列だけを使い続けるということがないのかもしれないと想像する。
AOUR配列は、自分としては9年間普通にPCで使用を続けている。入力速度もそれ以前のローマ字入力やAZIKの頃とほぼ差異はないくらいのレベルに達していると思う。拡張入力のルールは完全に習得してはいないので、それなりにミスタイプはあるし、アルファベットはQWERTYなので、それとの混同もまだ生じることはある。
別の環境のPCやキーボードで普通のローマ字入力を使わなければならないこともある。たとえば会社などで人のPCを一時的に操作する場合や、ポメラ、タブレット、テプラのキーボードなどを操作する場合。そういう場合にはAOUR配列は使えないが、それはそれで切り分けも出来ているので、困ることはない。
AOUR配列はその利点を説明する機会はあるかもしれないが、使えというように導くことはない。ほとんどの人にとって、新たな配列を覚えることは苦痛であり、覚えられるという保証もない。その人にとってAOUR配列を覚えることのほうが現状より何かが良くなるということも考えづらい。その割にチュートリアルなんてものをサイト側で公開しているが、あれはむしろ自分で見直したり最習得したりするためのものだ。
ただし、覚えて使ってもらう分にはもちろん構わないし歓迎する。