万年筆の使用目的

筆記具という物は本来、目的を持って何かを書くためにある。万年筆でインクを好きなように入れ替えてそのフローや色合い、書き心地を試したり、そうやって遊んだりするための道具ではないと想像する。もちろん、必要以上に何本も集めて眺めて楽しむものでもないと思っている。子供がそんなことをしていたら、勉強をしろとか友達と遊びに行けとか叱られるに違いない。
そういう自分も、使う理由が明確にないままに何本もあるし、インクも何色もある。本来の目的、つまり必要とされる筆記のシーンとはどんなものなのだろうかと時々考えるが、勉強や仕事、家庭生活において、どう考えてみてもそれが万年筆でなければならないという場面が思い当たらない。仕事では、必要な書類はパソコンを使って出力するので、手書きでしかも万年筆でなければならないというものは一切無い。多少ある手書きを要する書類、署名する時やメモ書きなどの場合にはボールペンを使うのが普通だ。仕事ではボールペンを使うのが普通になっているので、万年筆を使わなければならないとした場合はそれなりの理由を考える必要がある。ただ、手帳とかノートだとか、私的な筆記とみなされるものについては何を使おうと自由なので、そういう所で使うようにしている。
自宅においては更に、手書きをしなければならないということがほとんどない。文学や芸術などの趣味を持っているとそういうことも必要かもしれないし、手紙を書くようなことがあればボールペンより万年筆の方が良いのだろうが、そういうこともまずない。
つまり、実際には試筆をして楽しんだりするような、実務上ではない範囲の用途が９９％という状況なのが自分である。
まあ、それで良いのだ。