万年筆とインク色

投稿者: | 2017-04-01

万年筆のインクの色と言えば、ブルーブラックである。その名を知らない頃でもブルーブラックの色は万年筆のインクの色ということですぐにイメージできていたくらい、度々目にしてきて定着していたのだろう。
きちんとしたデータがあるのかどうかわからないが、万年筆のインク色で最も一般的に使われるのがブルーブラックなのではないかと思っている。
自分も万年筆で使うインクの色はブルーブラックを含めた青系色で、黒インクはあまり使わない。
黒インクは、日本では墨の色に由来するからなのか、標準の筆記色として最も一般的な色だ。公式の書類などでは黒インクで記入することが常識的に求められる。高級なボールペンは黒のリフィルが付いているのが基本で、万年筆も黒のカートリッジが付属していたりする。つまり、黒は初期色だ。
そういう社会の状況もあり、万年筆でも初期色の黒をその後も標準的に使うという人も少なくはないと思っている。
青系ばかりを使っている自分としても、たまに書く書類に万年筆を使おうと思えば、だいたいは黒インクでなければ提出しにくいと考える。
つまり、万年筆で標準的には青系インクを使うとしても、もっと多くの場面で使う場合は黒インクも必要である。
自分としては、前からSAILORの極黒を持っていたが、最近ではPILOTの標準のブラックや色彩雫の竹炭などもあって、稀に必要になる場合はこれらのインクを使うことがある。普段使っていない万年筆にこれらのインクを入れて一時的に書いたりするが、黒専用の万年筆があっても良いのだろうとは思う。
それにしても、ブルーブラックは万年筆のインクの色である。
普通は黒のインクであるところを、あえてブルーブラックを使うことで、特に文具に興味がない人でもこれが万年筆で書かれたものだと思うに違いない。
万年筆は今でも特別視されているところがあって、筆記に拘りを持っている人、あるいは字が綺麗な人が使う物と思われているように感じるので、それを象徴するブルーブラックを使うことが正に万年筆を使っているのだという気持ちになる。
根底に、そういう考えがあって万年筆ならブルーブラックだろうと、何の抵抗もなくその色のインクを選んだものだ。