インク補充作業の楽しみ

投稿者: | 2017-08-26

万年筆にインクを補充する作業は楽しい。これは何年経っても変わらない思いだ。
万年筆を本格的に使い始めたのは約10年前だが、瓶のインクから本体にインクを吸い上げて使うという、他の筆記具ではない作業の楽しさを考えて、その時点から今もほとんど吸入式やコンバータ式のものばかり使っている。インクが切れて補充するのも、途中で別の色に変えるために洗うのもまた作業は楽しい。
ただし、インクの補充や交換の作業は必ずキッチンで行うようにしている。物書きをする机上ではインク瓶の蓋は決して開けないようにしている。たとえ一滴でも零れたら始末が大変なのだ。
手に付着することも避けたい。腕時計は必ず外し、最近では薄手のゴム手袋をつける。手にインクが着くのも醍醐味という人が少なくないが、着いてしまうと水性とはいえ染料なので簡単には落ちない。しばらく手に青い染みが残ることになるのが嫌なのである。
そういう注意点はあっても、確実にカートリッジより楽しみがある。むしろ、こういう手間がかかるからこそ、瓶のインクを使うのは面白い。そういう手間を掛けた結果の、1ミリリットルほどのインクがこの万年筆に収まっているのだと思って見つめると、また愛着がわく。