万年筆による筆記

投稿者: | 2017-10-21

万年筆を使い始めたきっかけは単純である。本格的そうであるから。
昔、書店の文具コーナーで見つけたセーラーのハイエースを使い始めたのが最初で、文具に興味を持ち始めてから改めて万年筆に手を出したのもだいたい同じ理由だ。
シャープペンシルやボールペンでは出せない特別な感じを出す筆記に使うものとして、当初は専ら手紙を書いたりするなどに使ったが、やがて手紙もメールになって書く機会がなくなった。ワープロやパソコンを使うようになってから、筆記すること自体がなくなって、筆記具はあり合わせのものしか使わないという時期もしばらく続いた。
そんな時期を経て、ノートと筆記具に興味を持ち始めて万年筆も使うようになったが、入り口が実用ではなく文具趣味なので、所有している種類は増えたが試し書きという位置付け以外に何か役に立つようなことの筆記に使う頻度は少ない。
一体万年筆は何に使えば良いのか。
万年筆は、硬筆筆記具の中で王様のような扱いであるのは昔も今も変わらない。普通の筆記ではない、特別の筆記に用いなければならないような感じはある。
特別な筆記とは何か。私的なものではない、公式の筆記、どこかに提出したり、それを長期間残したり、心を込めて書いたりする、そういうのが特別な筆記というのか。
提出書類に関しては、保存性を考慮すると万年筆のインクよりも油性ボールペンというのが主流であり、役所の書類なども通常はボールペンになるから、万年筆は使えないことはないとしても主流とは言えない。長期間残すということに関しても同じで、耐水性や耐光性などを考えると油性ボールペンを使うべきということになる。
手紙などは、確かに万年筆で書くことで好印象を与えるなどの効果もあり、適した筆記の場面と言える。日記の類は、私的なものとなるが、万年筆の快適性、満足感を考えるとこれも適した筆記場面の一つである。
万年筆は、それ以外でも使ってはならないという決まりがあるわけではなく、署名や手帳の記載、考えをまとめる時、長文筆記などに推奨されている。
署名に関しても、長期間保存すべきものであれば油性ボールペンのほうが適していると思われ、署名は数文字の氏名を書く程度なので、それだけが目的ならあえて万年筆を使うようなものでもないという気もする。手帳もまた似ていて、小さくスケジュールやメモを書き留めるのに、厳かな万年筆は見映えは良いが、実用を考えるとボールペンなどのほうが良いのかも知れない。
長文筆記は、論文や文学作品、あるいはその原稿を書いたりする人には最適と思うが、その必要性があるかどうかというと、一般的とは言えない。
多くの人は、今や筆記するという事自体の頻度が低くなってきているので、概ねどのような筆記にでも使えるボールペンが一つあれば間に合ってしまう。
自分はどうかというと、筆記の必要性については多くの一般の人と同じで、どうしても書かなければならないというようなものは多くない。
万年筆は主にノート書きに使っている。内容は、考えをまとめるというものが大部分だが、要は雑記的なものであって、万年筆でなければならないというものではない。
書かなければならないものがあって、それが万年筆でなければならないので万年筆を使うのではなく、万年筆があるからそれを使うために何を書いたら良いのかと考えた結果がノート書きなのである。
最近ではA5サイズのノートを、1日に数ページ使うこともある。5、6本の万年筆を一定量毎に使い分けて筆記する。まず日付を入れ、思いついたことをただ文章で書くというだけ。ノートの使い方で推奨されるような手法はほとんど取り入れていない。ただ書いてノートの残りページが少なくなっていくのを楽しむだけ。
そんな目的に万年筆を使っている。
実用的という意味では、会社の仕事でも一部で使っている。
会議録・発言要旨のようなものをノートに書いたり、企画に関する考えをまとめたり、スケジュール手帳に記入するためにも使っている。稀に署名したり、付箋に書くメモなどにも使ったりすることもある。
何本も所有していると、1本当たりの使う頻度は低くなって、愛用の1本はこれ、と主張しがたくなるが、目的別に適したものを使うのでそれは仕方がない。各種の万年筆があれば、ここは使えると思ったときにその適した形式のものが選択できて、インクさえ入れればすぐに使えるようになるという強みもある。