これまで様々なキーボードを試しているが、その中でもHHKB Pro2は、15年以上前に購入したもので、時々普段使っているキーボードと交換して比較のために使ってみたりする。そんなに古いキーボードであるが、使用頻度はそんなに高くないということもあり、当然にまだ何の問題もなく使える。
HHKBの最大の特徴は、配列が特殊であること。基本的にはUS配列なのであるが、キー数が少ない。普通のテンキーレスUS配列では87キーくらいだが、HHKBは67キーくらいである。例えばカーソルキーやファンクションキーが無く、それらはFnとの組み合わせで操作するので、これらキーが独立していないと困る場合が想定できるのだが、実際慣れるとさほど不便とも言えない。カーソルキーを操作する際はホームポジションから右手を話さなければならないが、HHKBだと右手小指のFnキーとの組み合わせなので、指の移動距離も少なく、特に目で見て確認しなくても打鍵できるようになって、その点では便利とも言える。
自分は普段は、RealforceのPFUモデルで45gの押下圧の静音タイプなどを使っているが、それと比較すると、まず打鍵音がだいぶ賑やかである。これは静音モデルではないから仕方がない。カーソルキー操作では、前述のとおり小指のFnキーを多用するので、その点が少し違和感はあるものの、以前から何度も使ってこの操作にもある程度は慣れているので、苦痛というほどには感じない。いずれもUS配列である。
それよりも気になるのは、キーの押下圧である。HHKBにおいても押下圧は45gであるはずなのであるが、これは随分と重いと感じる。経年劣化で可動部分が重くなっているという可能性もあるが、感覚的には当初からこんな押下圧だった。Realforceも45gで同じであるはずなのに、誤差はあるとは言え、HHKBのほうが重い。タクタイル感の違いという所なのかも知れないが、その分、しっかりとした打鍵をしないと入力できない。堅固な感じもする。普段使っている感覚と異なるので、押下圧が足りずに打鍵抜けが稀に発生したりする。押下圧がそれだけ強いと言うことでは、手にも力が入るし右手小指も多用するので、長時間使って比較するとHHKBのほうが疲れるかも知れない。
また、BSキーの位置とESCキーの位置も標準的なUS配列と異なって一段低い場所というか、近い場所にあるのは良いが、これも切り替えてしばらく、慣れないうちはミスタイプを頻発してしまう。
そういう違いはあるものの、全体としてはしっかりとした打鍵感がある静電容量無接点のキーボードで、文章書き用途での打鍵については特に問題はなく、たまに気分を変えてHHKBで打鍵して書いてみるのも悪くないと思うが、長文入力ということになると、Realforceの打鍵感のほうが良い。とにかく自分のHHKBについては固いという気がしてならないし、実際ここまで打鍵するのに何度も打鍵抜けが発生している。特に小指のキーがそれで、それなら全45gより変荷重のRealforceのほうが良いのかも知れないが。
Realforceは事務用の一般的な用途に向き、HHKBはコーディング作業などに向くのではないか。ゲーム用途には多分どちらも適してはいないのかも知れない。
なお、縦書きか横書きかということでは、HHKBだからどうというのはない。これは同じである。
ここまでHHKBで書いて、今度はいつものRealforceに戻すとどうなるか。やはり静音モデルであるので打鍵音は静かで高級感があるし、押下圧も45gで適切でRealforceのほうが打鍵しやすいと感じてしまう。
戻した当初はまたEscやBSキーの位置の違いにも戸惑うが、これもまた慣れなので、少し使い続けていると感覚が元に戻る。
また別の環境では、変荷重のRealforceであるが、これもまた打鍵がしやすい。文章書き用途の打鍵では変荷重が良いとも言われているが、実際どうなのか。指の力に応じて小指打鍵キーの押下圧が30gになっているモデルなので、これが最も指への負担が少ないのではないかと思っている。