かな漢字変換のための入力は、普通のローマ字入力は使っていない。かな入力でも親指シフトでもない。ATOKなどIMEのローマ字カスタマイズ機能を使って、キーの定義をほとんど全て変更した独自の入力方式を使っている。
キーボードの英字の配列は、左上にQ、W、E、R、T、Yのキーが並んでいる配列が標準である。「QWERTY(クヮーティー)配列」と言われている。ほとんどの人はローマ字入力で、この配列の英字で子音と母音を入力していく。また、かな入力は、これらと数字の段のキーに五十音全部のかなを割り当ててあって、そのかなの通りに入力していく方式で、ワープロ専用機時代まではローマ字入力より使う人が多かった。今でもかな入力の人は1割ほど居るようだ。
キーボードを習得してからしばらく、十数年はローマ字入力を使っていて、それなりに高速に打鍵できるようになっていたが、もう少し効率の良い方式はないかと、ローマ字入力の拡張方式を使うようになった。普通のローマ字入力に加えて、二重母音や撥音を伴う綴りの入力に定義が割り当てられて、ローマ字入力よりも打鍵数が少なく、高速入力ができるようになるという方式である。この方式は数年使った。
このような拡張入力は、定義数が増えるためにキーの配列がある程度整理されているほうが定型的に習得しやすいのだが、元はローマ字入力であるために、制約も大きかった。QWERTY配列ではなく、母音が左手のホームポジションに集中配置されているDvorak配列を元にしたものもあるというので、それを試してみようと思ったのだが、普段使っているATOKなどのIMEでは簡単に実装できない。実装するにはキーボードの配列をDvorakにしたり、ローマ字入力定義をカスタマイズする必要がある。
そういう流れで、普段使っているATOKで実装するように、先行の入力方式を取り入れる形でATOKでDvorak系配列を使えるようにしたのが自分の方式の始まりである。以来ずっとその方式を使うようになり、おそらくもう最初にローマ字入力を覚えてから使い続けたくらいの年数は経っているのではないか。つまり、その時点でのローマ字入力と同じくらいの速度には達しているのではないかと思われるが、正確に比較する方法がないし、打鍵数は確実にローマ字入力より少ないので、どうなのかはわからない。
そういう、標準とは異なる入力方式を使ってきて、困ったことはほとんどない。この方式の特徴は、和文入力、IMEがオンの時だけそういう方式で、オフの時は通常のQWERTY配列のままである。半角文字、英字入力の時はQWERTYの配列ということであるので、通常のローマ字入力も忘れたわけではなく、速度は少し落ちて混同も生じているものの、概ね問題なく使える。
他に使っている人がいるわけではないので、肩身は狭いような気もするが、それでも誰もやっていない方式で通常の入力よりは効率が良いことをしているのだからと優越感のほうが大きい。稀に他人がこの方式に設定されたPCを使う際に、これはこうなので、と説明して標準に戻してやる操作をする場面も又面白い。
今では、ATOKのみならずGoogle日本語入力や、DvorakJという配列仲介アプリケーションを使ってMS-IMEにおいてもこの入力方式を使えるようにしてあり、今後もこの方式をずっと使い続けていくつもりである。
今後も少しずつ定義を修正して、より自分で使いやすくしていくかも知れない。