会社のPCは自由に選べるものではないので、キーボード環境も好きなようにすることはできずに制約を受ける。
例えばATOKやGoogle日本語入力が使えるようになっているのなら自分の入力方式のAOURは使えるようにすることができるのであるが、物理的なキー配列の変更はできないと思われるので、CTRLキーをAの横にすることが不可能だ。さらにはノートPCの場合はバランスの悪いテンキー付きキーボードの使用を強いられることもある。
外付けの任意のキーボードを使えばそういう環境は解消されるのであるが、そうでもしない限りは使いづらい環境に慣れていくしかない。そして自宅に戻って最良の環境に触れてホッとするのである。
自分が安心するキーボード環境は、AOURでの打鍵で和文入力ができるというところには違いないが、ハードウエア的なキーボード環境ということでは、CtrlキーがAの横にあって、あるいはそういう設定ができて、打鍵感はストロークが適度にあって、押下圧が35~45g程度のキー、賑やかな打鍵音よりも静かなもののほうがいい。単純に言えばHHKBとかRealforceの静音スイッチのそれが良い。そういう静電容量無接点のキーボードの環境があれば快適なのである。
キーボード環境を快適にしない普通の人は、それが普通だと思っているという場合が圧倒的に多いと思うが、どうせそんなにそこだけ快適にしたところで、対して文字入力をしないとか、万年筆における字の綺麗さと同様に打鍵すること自体得意でもないので拘りたくない部分であるとか、さらには全ての環境を同一にする事ができるわけでもないので、あえて与えられた環境のまま使い続けるという場合であろうと思われる。
そういう、最初の環境から変えないということは、JIS配列ユーザが圧倒的に多いと言うことも関係してくる。かな入力の人はJIS配列でなければならないが、ローマ字入力しか使わないのなら、US配列にしたって基本的に問題はないはずである。
だが、そうは言ってもやはり和文入力と半角英数字入力との切替、すなわちIMEのオンオフは1キー操作でできるほうが便利だし、数々の説明書類に基づいて操作をする場合、或いは人に教えを請う場合は、標準的なJIS配列でなければ不都合もありそうだということで、実際そのくらいの理由でJIS配列を使い続けている。
もちろん慣れもある。US配列に切り替えるとそういうIMEのオンオフだけではなく、記号の配列が異なっていたり、キーの形状が異なっていたりするので、その感覚の切替は必要になる。
また、US配列は基本的にコーディング作業をする人にとって最良選択の一つというイメージが強い。最近特に色々調べていてそう思うところもあるのだが、文章書きについて不都合があるということもない。コーディングで便利ならば、すなわち文字入力に便利だということであるので、文章入力の場面においてもそのまま有用なのである。JIS配列の方が文章入力に有利ということは、多分ない。
アイソレーション
ノートPCでは、アイソレーションキーボードがだいたい主流になっているとは思うのだが、そうではないキーボードもまだある。キートップ間の隙間が小さくボード面ではなく内部からキートップがそのまま出ているような形の、従来型のキーボードである。従来型の普通のキーボードもそうなっているのだから、それ自体は特に今でも珍しい物ではない。
メンテナンス的なことを考えると、ノートPCのようにストロークが浅い場合、アイソレートなキーボードのほうが断然良く、おそらくキートップが外れにくいのではないかと思う。
打鍵のことで言ってもアイソレートなキーボードのほうが、どのキーを打鍵しているかが明確になるので、ミスタイプも少ないと思われる。
一般的な外付けキーボードもキートップ間のキーピッチが確保されている意味と同様である。Realforceなど外付けの従来型のキーボードは、キートップが台形型をしていて、指に触れる部分の面積が限られている。ノートPCのそれは、打鍵する面がそれよりも広い。
広いのは一見良さそうなのであるが、それに慣れてしまうとキートップ中央を打鍵する癖が付かないので、ミスタイプを誘発するのではないかと思っている。
与えられるノートPCはそんなアイソレートではない従来型のキーボードで、慣れぬと打鍵しにくい。ミスタイプも起こりやすい。きちんとキートップの中央目がけて運指しないと、押下しながら隣のキーに引っかかったりする。
ただし、きちんと運指ができる人、すなわちブラインドタッチが問題なくできる人であれば、基本的に問題はないとも言える。
ブラインドタッチ
すなわち、キーボードのブラインドタッチはやはり習得しておくべき技術である。PCやキーボードが変わっても、ブラインドタッチが可能であれば基本的には快適な引き続き使えるのである。
自分がブラインドタッチを習得したのはもうずっと前の学生時代で、まだOA機器としてのパソコンはそんなに普及していない頃であったかもしれない。これからは仕事でキーボード入力の時代になるという予測をしていたわけでもなかったが、結果的にそれが役に立った。独習で、それまでだいたい両手の各指での打鍵はできていたから、そんなに時間がかからずにブラインドタッチは習得することができた。
当初、ブラインドタッチはキーボードを見ずに打鍵することだから、テレビなどを見ながらでも打鍵はできるそういう技術だろうと思っていた。確かにそれもあるが、正しく変換がされているか確認しなければならないので、そんなよそ見をしている暇は無く、画面に出力される文字を見ていなければならないというのは小さな誤算でもあった。
それでもブラインドタッチを習得して、次第に速度も向上して、キーボード入力はほとんど何も苦が無くできるようになってしばらく、そのままそのローマ字入力を使っていけばさらにもう少し速度は向上していたとも思うのだが、欲を出して様々な入力方式から、独自の行段和文入力方式に変更したので、しばらくはその入力速度がずっと落ちてしまうことにもなった。
だがそれも15年も経てばローマ字入力の最盛期くらいの速度では打鍵ができるようになっているので、結果としては良かったのではないかと思っている。