単語登録の必要性

投稿者: | 2016-04-02

ワープロ専用機に初めて触れたのはもう30年くらい前になるが、かな漢字変換による日本語入力の方式は、今のパソコンでも変わっていない。今後も当面はこの方式で入力されることになる。
言うまでもなく、かな漢字変換を行うために辞書が必要である。固有名詞など、辞書にない言葉は変換できない。そういう場合、単漢字として入力するなど、一字一字確定させていく必要がある。
変換できない語は常にそういう方法で文字を入力していくことになると、効率が非常に悪いので、かな漢字変換辞書にはユーザが自由に単語を登録できるようになっている。その仕組みも、そんな昔からある。
メモリの容量などの関係で、その当時は標準辞書に登録されている単語も限られていたから、変換できないという用語もそれなりに多かった。
当時は、後で使う可能性があると思った語や記号などはほとんど迷いなく登録していた。ワープロ専用機では活用する語の認識はできず、全て名詞またはサ変名詞として登録されることになっていたから、活用形も全て登録した語もある。そうしていると登録語数はすぐに増えて、上限の1000語、2000語に達してしまったものだった。
パソコンの環境になってからは、その状況は一変した。
まず、事実上単語登録の上限はない。必要なら何語でも登録できる。活用がある語も品詞を区別する仕様があるから、活用形を意識せずに登録できる。
それ以前に、ワープロ専用機のROMと違い、標準辞書もアップデートすることが可能であり、最新の語なども収録されているなど、単語登録の必要性が薄れている。今ではそれがどんどん進化してきて、日常の使用で必要な語はだいたい標準辞書に登録されているので、単語登録を行う必要がほとんどなくなったのである。
今使っているユーザ辞書を見てみたら、登録しているのは60語程度で、固有名詞や製品名のほかでは「鋲螺」などの難読語が少し、顔文字が少し、「生格」「合焦」など特定の分野でのみ使う語が少し、後は略語など自分の周りでだけ使う独特の表現が少しである。活用がある語では「蹲む」くらいだ。
見直せばもう使わない表現の語も結構あるので、もっと少なくできる。単語登録など全くしていないが用が足りているという人も結構たくさんいるのだろうと思うので、実際このユーザ辞書への登録はなくても良いと言えるくらいだ。
ただし、日常や一般的な仕事の範囲ではそれで問題がないが、専門分野になるととたんに変換できない語が多く出てくるから、そういう場合はこの機能を活用する必要がある。
自分としては、もう少し難読語や文学などで使われる表記の分野の辞書を充実してほしいものだと思う。そんな難しい語や表記を普段使うわけではないが、自分が見かけた語が難なく変換されることで、網羅的・辞書的な充実感が欲しいと思うのである。