何本目の万年筆なのか、パイロットの定番万年筆、カスタム74を入手した。黒軸金冠のスタイルは王道だが、セーラーなどで同様のデザインのモデルを持っているのであまり気にかけずにいた。今になって、色彩雫に誘発されてパイロットの万年筆のコレクションが増えているが、細字で金ニブのものでは鞄に入れて仕事へ持ち出すCaplessしかなく、自宅に置いて使うのも欲しい。そういう前提ならあまり人前で使わないので、この王道デザインので良い。
さすがに定番商品だけあって、万人に使いやすいようになっている。軸は太すぎず細すぎず、重すぎず軽すぎない。自分としてはキャップを尻軸に付けることでちょうど良いバランスになり、14金ペン先もフローもよくしなやかで、予想していたとおり基本的に使いやすい。価格も1万円と手頃で、初めての万年筆だったとしてもだいたいこれを選んでおけば間違いない。
ただ、この王道デザインの筆記具は、会社で使うのには抵抗がある。目立ちすぎる。特別大きなものではなくても、黒軸に金の部品という組み合わせが、支給のボールペンやシャープペンシルが主流の雰囲気の中では異質なのである。マットブラックのCaplessを使っているが、これならまだじっくり見ないと万年筆だと気づかれないし、実際に使っている。
そもそも、自分の手帳やノートに使う分にはどんなペンを使おうが自由である。それでも、徐に取り出してねじ式のキャップを外して尻軸にはめ込んで書く動作だけでも目立ち、何より金色の光が派手な印象を与える。それによって、無駄な動作やモノにばかりこだわって仕事ができない奴だと思われそうで、堂々と使えない。従って基本的には自宅用である。
インクは当面純正のブルーブラックを使うことにした。定番商品には定番インクが良いのではないか。純正BBは最近までCaplessで使っていたが、色彩雫の朝顔に変えてからは眠らせ続けている。70mlの大瓶で、3年使って僅かに減ったかという程度で、まだ十分にあるのだ。