PILOTの、色彩雫ではないインクのことを標準インキなどと勝手に呼んでいる。
黒、ブルーブラック、青、赤の4色があり、カートリッジの他、30ml入りの小瓶、色により70mlや350ml入り瓶のものもある。かつては700mlというのもあったようだが、350mlなどはそのまま使うのではなく、小瓶などへの補充用だろう。いずれも、大容量になるほど1mlあたりの価格は安い。
PILOTには、他にインクブランドとして色彩雫があり、鮮やかな色や趣味性の強い色などがシリーズ化され、デザイン性の高いボトル・パッケージになっている。標準インキにはそのような特徴はなく、実用性が重視されている。赤は少しまた特別としても、どれも落ち着いた色合いで、真面目で堅実な感じがあって、幅広くどのような筆記でも合わないということはない。
安価でもあるため、作家の原稿書きや司法試験などの長文書きなど職業的に大量に書く場合でも都合が良い。
入手しやすいという事もある。かつてはどんな文具店でもPILOTのこの標準インキは置かれていたような気がする。今も万年筆を取り扱っている店なら必ずある。
海外ブランドのインクや色彩雫は、今後の売れ行きや情勢などによりずっと供給されつづけるのかという心配もあるが、この標準インキはその可能性が最も低い。そもそも国内でのシェアは一番高いような気もして、今後も当面、安定して供給され続けるという感じがあるので、安心感がある。
そういう標準インキを使うという事自体が、書いていてもほっとするような気分になり、特にブルーブラックと青は気に入って、他のインクよりも使用頻度が高いのである。