禁則処理とは、行頭や行末に来るべきではない約物などがその位置に来たときに、その位置から別の場所に追い出したり、隣接する文字を追い込んで行頭や行末に来ないように調整する機能のことである。
句読点や終わりの括弧類などは行頭禁則で、始まりの括弧類などは行末禁則である。小学校で習う原稿用紙の使い方でも、これらの文字は行末にはみ出して書いても良いなどとされている、あれである。
禁則処理という用語は組版の用語らしい。ワープロ専用機を使うようになって、今まで聞いたことのない用語もだいぶ覚えた。禁則処理という言葉も知ったのはワープロ専用機を使っていた頃である。ワープロ専用機においても、行頭行末の禁則処理の機能はあった。ただ、電子文書としては制御コードである改行マークもまた一文字の扱いになって、自分が使っていたワープロ専用機ではこの改行マークの行頭禁則ができなかった。
これの行頭禁則が出来ないと、行末に段落の改行があるときに更に1文字追加すると改行だけが次の行に送られて、次の行が改行だけになり印刷すると空行になってしまう。段落の改行のつもりが勝手に空行になってしまうのである。
つまり、制御コードが禁則文字として扱えなかった。
PCの禁則処理はワープロ専用機のそれよりもずっと高度で、同じ頃のPCにおいては既にこの問題も解決されていて、制御コードも禁則文字扱いで、行頭に送られて勝手に空行が発生するというようなことはなかったらしい。
禁則処理は、今ではワープロソフトと高機能なテキストエディタに備わっている。ワープロソフトでは、一太郎やWordは禁則処理を行うか否か、句読点のぶら下げか追い込みかの選択ができる。どの文字を禁則にするかも設定できる。一太郎では追い込みをするかしないかも選択できるし、きちんとした国産のテキストエディタでは、一太郎同様にどのように禁則にするかを設定できるようになっている。
エディタの設定ではだいたい初期値でも禁則処理がされるようになっているので、何も気にとめることもなく、文字を入力していくだけで原稿のようなものが仕上がっていくのである。
Windowsのメモ帳にはこのような禁則処理の機能はない。制御コードについては、禁則処理とはまた違うのか、勝手に空行が作られるように送られることはないが、行末行頭の禁則は利かず、行頭に「。」だけがある行などが発生してしまう。
おそらく海外製のテキストエディタでもこのような処理はできないかもしれないが、ワードラップ機能はあって、単語の途中で改行されないような処理には対応している。
国産エディタ、ワープロについてもワードラップ機能はあるので、一般的には国産の高機能エディタやワープロソフトを選んでおけば和文にも英文にも対応できる。