少し前の記事でも書いたのだが、使うアプリケーションやOSなどについては、できるなら書籍のマニュアル類があったほうがいいと思っている。ユーザが多いアプリケーションなどは、Webでも情報は充実していて、必要なことはそこでわかる場合がほとんどであるのだが、Webでの情報は生もの的でもあり、いつまでも同じ場所にあるとは限らないからである。書籍なら、入手してしまえばずっと手元にあって参照できる。もちろん、バージョンなどが変わってしまえば役に立たなくなるわけだが、それでもそのアプリケーションに関する基礎的なことを一通り把握するのに役立つ。
WordPress辺りも、やはり何らか書籍は手元にあった方が良いのではないかと思っている。
サーバのレンタルやドメイン設定から、インストールと最初のサイト構築までは、上記のとおりWebの情報だけで基本的には問題ないが、紙で読める情報が手元にあった方が、やはり安心できるのは自分だけなのだろうか。
WordPressもバージョンが違っていると、内容が古くなるので、書籍を選ぶときはなるべく新しい物、自分が使うバージョンと合っているものを選ぶのが基本である。だいたいそういう情報は表紙やカバーにVer.5対応などと書かれている。
書籍の最後のページなどの奥付に、発行日付があるのでそれも併せて確認すべきだ。ただし初版が何年も前で、第○刷が最近になっているものは、初版時点からの内容が更新されずにただ増刷だけされた場合もあるかもしれないので、内容を概観して画面の画像などが最新のバージョンに置き換えられているかどうかなどを確認した方が良い。
初版の発行日付が1年以内とか、そうなっているものは、まず最新になっているはずだから、概ね問題ないとは思える。
しかしやはり書籍選びの問題は、自分のニーズに合った内容かどうかということに尽きる。WordPressの書籍の場合、ブログ初心者向けのサイト構築の初歩と記事の投稿などが中心になっているタイプの物と、テーマデザインのカスタマイズやプラグインの作成など専門的になっている物、あとは記事の投稿内容、SEO的な内容、収益ブログ運用向けの内容になっている物くらいに分類されるかもしれない。もちろん、その中間的な内容の物もある。初心者も含めて、中級者クラスまでをカバー範囲としている物で、おそらくこの種類のものが一番多いのではないか。
自分が必要とする書籍も、その辺の範疇の物である。全くの初心者向け内容までは要らないものの、サイトを構築して運用を始めた人向けのものというくらいが丁度良い。
それを探すには、やはり大きな書店に足を運んで実際に手に取って内容を見てみる必要がある。Amazonのなか身を見る機能でも、ある程度は把握できるかもしれない。
様々見た中で、自分が良いと思って選んでみたのは次の2冊である。もちろん、これは現時点でそう思うものであって、今後もっと良好な書籍が発行されるかも知れない。
いちばんやさしいWordPressの教本 第5版
1冊目は、表題のインプレス社の書籍である。2021年6月初版。
いちばんやさしいシリーズの一冊で、表紙が目立つB5変型サイズ。コンパクトで扱いやすい。内容は、さくらのレンタルサーバを例に、一通り、インストールからサイト構築、メンテナンスまでをレッスン形式で解説している。手順の説明のフォーマットが統一されていて、画像も大きく、わかりやすい。内容は初級者向けではあるが、初心者向けほど簡単というわけではない。これを一通りマスターしたら、難なくWordPressのサイトが運営できるようになるし、中級以上の者も目を通すと新しい発見があったりして面白い。もちろん最新版なので、WordPress 5.x対応である。
WordPress 本格Webサイト構築 パーフェクトマスター 第2版
2冊目は、表題の秀和システム社の書籍。これも2021年6月初版で、特に注記はないがVer.5対応となっている。B5変型と思うが上の教本よりは縦長である。ページ数も540くらいあり、厚めである。
パーフェクトマスターシリーズであるので、とにかくほとんど全てが網羅されているという感じ。WordPressのことだけに限らずサイトの構築、仕組みやHTML、CSSによるデザインに至るまでの知識が一通り得られる内容になっていて、操作のマニュアル的な物ではなくサイト構築のためのテキストという感じ。すなわち文章での説明部分も多く、読み応えがある。
もちろん、Xserverのフリーのをレンタルサーバを例にした構築手順などもあり、見返しにキーボードのショートカットの説明があったり、巻末にHTMLやCSSのリファレンスがあったりと、初心者向けの内容も盛りだくさんである、初級者初心者から中級者でも十分に満足できる造りになっている。
そのほかの一冊
自分が手にしたWordPress書籍では、他にソシム社の「WordPressの教科書」がある。KUSANAGIの環境をローカルに構築して、そこでWordPressのサイト構築を学んでいくという内容であるが、PHPのコーディングに関する部分が多く、「入門書の決定版」というコピーはあるが中級者以上向けであるように感じた。レンタルサーバへのアップロードは、かなり後ろの方で紹介されているという、他の書籍とは少し違った視点の書籍であって、これはまた面白い。
WordPressの書籍は種類も多いので、繰り返しになるが必要とする場合は手に取って自分の段階とかニーズとかに合う物を選ぶべきである。
ちなみに、かつてMovable Typeを使っていたときもその解説的な書籍を何冊か購入して活用した。
今あるのは「Movable Type標準ハンドブック」(インプレス、2005年)、「Movable Type公式タグリファレンス」(オーム社、2005年)、「Movable Type上級カスタマイズ術」(技術評論社、H17年)の3冊である。MTは標準的な使用というよりテンプレートとCSSのカスタマイズに徹したので、そういう内容の書籍をよく集めていた。