小学校に上がった頃は電動の鉛筆削り機を使っていたが、尖りすぎることや音が煩いなど、実はそんなに好きではなかったかも知れない。やがて携帯用の手削り器を知ると、それを鞄に入れていけばいつでも静かに削ることができたので、それを使うようになった。学校の教室にも電動かハンドル式の鉛筆削りはあったと思うが、使った記憶が無い。
再び自分としてのブームが起こり鉛筆を使い始めた際にも、まずは手削り器を好んで使った。DUXの真鍮製の削り器や、STEADTLERのクズ溜めケースが付いてるものなどを使った。電動やハンドル式のような鋭角にならないほうが、芯は折れにくいだろうと考え、自分としてはあの尖りすぎない角度が好みだった。
ナイフも使ってみたが、これが意外に難しい。思うように綺麗に仕上がらないのである。子供の頃も何度かカッターナイフで削った記憶もあるが、上手にできたためしがない。それは今も同じであって、手削りの良い雰囲気は出るものの、どうも自分は雑だ。
特に、未使用の鉛筆をゼロからナイフで削るのがダメだ。仕上がりが汚いのだ。これは、カッターナイフを使おうが、ホームセンターで買った肥後守を使おうがだいたい同じでもあった。一度削り器を使って削ったそのフォルムをベースに、再度尖らせる程度なら、まあ何とか形になる。
少し前に、ハンドル式の削り機を買ってみた。カール事務機のエンゼル5という国産製品で、長寿命をうたっていて文具大賞も受賞したことがあるというものだ。
実を言うと、これまで電動の削り機は使ったことがあるが、ハンドル式の削り機はちゃんと使ったことが無かった。でも使い方はわかる。
削ってみると、手削り器とは全く違う、ロングポイントに仕上がる、自分としてはあまり好んでいなかった形状に仕上がる。しかも、削りのラインは僅かに凹んでいて、さらにスマートな形に仕上がる。
持つ箇所が少し上に来てしまうのと、芯が折れやすくなる危惧があって嫌っていたが、実際使ってみると、これが意外にも気持ちよいのである。
持つ位置の変更はほとんど気にならないし、2Bの芯でもむしろ折れにくいくらいで、強度に関しては問題ない。
細く鋭角に仕上がることで、手削り器の場合よりも芯が丸くなるまでの時間稼ぎもできて、つまりは細い描線の状態がより長く続き、字書き用途としては好ましいのだ。
本体は重く、ハンドルは軽く、手も周りも汚さずに素早く削り上げることができる。むしろ自分の用途と感覚に合った削り機は、実はこっちのほうだったのではないかと思うくらいなのだ。
そんな風に思うようになってからは、だいたい1日に1回以上は、その削り機を使っている毎日である。