会議と万年筆

投稿者: | 2013-06-29

何より自分の字は汚いというところがあって、そんなレベルで高価な筆記具を使って勿体ないだろうと、自称美文字の人たちや美文字評論家の人たちに笑われるのが嫌である。いや、そう考えると、仕事のシーンに限らず人前で書いてみせるという事自体が結構嫌だ。筆記具を購入するときの試筆も線や記号だけで字は書かないようにしたいと思っているくらいだ。

そんなところがあるので、仕事で人前で万年筆を使うということにも躊躇いがあった。使っているところを見られたくないのに、見せたいものを使いたいという変なジレンマがある。会議などで、ねじ込み式や嵌合式のキャップの万年筆はアクションが大きすぎて目立ち、外したキャップを尻軸側に取り付けたり、キャップを再び取り付けてしまい込んだりする動作もどうかと思っていた。そういうタイプのは自分としては使うのに勇気が要るだろうと考え、唯一、PILOTのCapless万年筆は試してみる価値はあるだろうと思っていた。

このところ、100均で見つけた万年筆を机の引き出しに入れて、手帳やメモなどに使ってみている。これなら、仮に笑われても所詮100均の万年筆を使っているのだからということで自分も笑って済ませるだろうという、無意味な自信である。
そうして使っていると、もう少しグレードアップした製品も使ってみたくなる。

このたびついに、Caplessを仕事に持ち込んで、使ってみた。100均万年筆同様に、こっそり出してこっそり自分の手帳に書き込んだり、自分のノートに使ったりする分にはまず問題ない。
いよいよ会議の場でも使ってみる。
ノックによってペン先が繰り出されるのは、収納しているときにそれがボールペンなのか何なのかというのが見られてもわからないので、それもまた良い。
ただ、いざ使い始めると、ペン先の保護が気になる。一般筆記具、ゲルインクのボールペンなどと違い、それなりに重さもある為、手が滑って落とさないように細心の注意を払い、頻繁にノックしてペン先の出し入れを行ったり、記号や文字を速記するとペン先に負担がかかって傷まないだろうかなど、そればかりに気が行って会議に集中できないという始末……。

やはり、万年筆は自席で落ち着いて手帳やノートに記述するのに使う程度がちょうど良いのではないかと思ったが、それだけでは勿体ないので、見られても後で指摘されるようなことがないと思われるメンバーでの会議なんかには少しずつ使っていくことにしたいと思う。
当面は、そんな使い方である。