自分のところで使っているWiFiルーターはNECのAtermなのだが、同じ物2台がセットになっていて、それぞれ親機と子機(イーサネットコンバーター)として使い分けられるタイプのものだ。
WiFiでの送受信は、親機も子機も同一の規格に対応していなければ意味が無いので、以前から対応した子機とセットでの販売が行われている。以前はPCカードとセットのがあった。最近ではUSBタイプの子機とセットのものがよくある。だがこのように同じ本体2台セットで、親機と子機に使い分けるというのは、おそらくAtermが最初で、ずいぶん変わったことをするものだと思ったものだ。親機も子機も専用のものにするほうが余計な機能を搭載しなくても良いので、性能的にも安定しそうだし、買う側のコストの点でも有利なのではないかと思うところはある。
製造側の立場では、親機に子機の機能も詰め込んで切り替えて利用できるようにするという発想、新たに子機用の本体の開発をしなくて良いので低コストになるという事情はあるんだろうと思う。
それはともかく、このような2台セット製品は、最初から親機と子機のペアリングがされていて、双方電源オンにすると、何もしなくても接続される状態になっている。そうなっていなければ、この分野に詳しくない人は正しい設定がそれなりに難しいし、製造側にもサポートの手間が増えるというものだ。
予め子機として設定した側にはこちらが子機だ、というシールが貼られていた。
親機も子機も同じ機種なのだから、交換することが可能であるはずで、仮に、いずれか一方が故障したりした時なども、そうやって交換することができるのも同じ物2台セットの利点ではある。自分も最初からそうやってペアリングされている状態を元にして、自分の状況に合うよう各種の設定を変更してしばらく使っていたが、いつか交換作業をやってみようと思っていたところなので、やってみることにした。
自分の環境は、親機と子機を離れた部屋で使っていて、それぞれに別のPCが有線で接続されている。IPアドレスの体系はデフォルトと異なる自分のところの独自のものとしていて、もちろん親機子機間は無線での接続をしている。
まずは、それぞれのAtermの設定を保存する。Atermには設定を一括してファイルに保存してくれる機能があるので、これを使って交換後に復元する方法によることにしたのだ。
ネットワークに接続されている状態で、交換のセットアップをするPCに親機と子機の設定ファイルをコピーした。
子機は脚部をセロハンテープで台に固定していたが、100均の質の悪いテープだったのか、剥がすのにかなり苦労した。足の部分を外して糊の跡を洗おうと思って洗剤スポンジで擦ったら細かい傷もついてしまった。無論本体機能には何ら関係は無いが……。
親機・子機の電源を切り、背面のスイッチでモードを切り替える。自分が使っている機種では、親機、子機(イーサネットコンバーター)、アクセスポイント(ブリッジ)の他に中継器モードというのもあるが、これは子機モードで「らくらく無線スタート」でペアリングしたときに有効になる。
まずは親機から変更して子機とする本体を設定PCに接続する。モードを切り替えると、設定のためのログインIDとパスワードは保持されるようだが、IP体系がデフォルトになる(そのモードごとに保持されるらしい)ようなので、自分のPCのIP体系では接続できない。
「http://aterm.me/」でセットアップ画面が表示できるというが、これはIP体系がPCも同一でなければならないようで、実際この手の機器でそういうURLでアクセスできたことは一度も無く、本体のIPアドレスを入力して辿り着かねばならない。
すなわち、PC側のIPを本体と同じセグメントにしなければならない。
マニュアルを調べると、子機側のデフォルトのIPは「192.168.1.XXX」親機モードの場合は「192.168.10.XXX」らしい。
PC側を一旦「192.168.1.2」辺りに変更してから、子機のIPアドレスで設定画面を表示させ、保存しておいた設定ファイルで復元を行う。
復元を行うと、元々設定してあったIP体系に戻るので、再びPCも元のIPアドレスに変更して再度設定画面を表示させ、復元されていることを確認する。
一方の子機から親機に変更して使う側も作業は全く同様で、PC側のIPの変更後に設定画面を表示させて設定ファイルから復元し、また元のIPアドレスに変更する。
基本的にはこれで、親機と子機の設定を入れ替えた状態になったはずなので、元の場所にせっちしなおして接続してみたが、子機がこれでつながらない。
その他の機能は正常に動作して、親機も問題が無く、子機からもアクセスポイントの検索もできているのに何故だろうとしばらく悩んだが、考えたら自分はMacアドレスフィルタリングを使っていたのだった。
旧親機に設定してあったフィルタリング情報は旧子機のもので、入れ替えを行った場合は、旧親機のMacアドレスのほうで登録しなければフィルタリングされて接続が出来無いのである。
親機側でフィルタリングのMacアドレスを調整してやると無事接続。
これで入れ替え作業が完了である。
単純にできるだろうと思っていた入れ替え作業であるが、実際やってみると色々大変であった。