昼間に寝転がって新明解国語辞典第四版を読んでいたら、「てがたな(手刀)」の項目にこんな語釈がついていて吹き出した。
「てのひらの側面でチョップすること。」
追い込み項目で「――を切る」においても「(前略)懸賞金などが手渡される時、三回軽くチョップするようにして受け取る。」
チョップ……。空手チョップのチョップである。
いや、第四版までの当時はそういう語釈、説明が最も的を射たものだったのかもしれない。だが今は、なんかこう空手チョップ自体があまり使われないせいか、クスッと笑ってしまうのである。
現に、最新の新明解第七版では、チョップという言葉は使われていない。
てがたな「てのひらの側面で物を切るようなしぐさをすること。」
こうである。
自分の世代では空手チョップでも通じるが、確かに今では「物を切るようなしぐさ」と表現したほうが、ああそういうことか、とわかりやすいかもしれない。
今の岩国第七版でも当然、チョップなんて言葉は語釈に無い。
三国第七版の場合はどうか。
てがたな「指をのばし、手のひらの小指の側を使ってたたくこと。空手チョップ。」
あった。
三国はわかりやすい表現とまさにこれ、という表現の両方を採用していた。
さすがである。
新明解の語釈は面白いと言われるのはまさにその通りだと思うが、自分としては三国も負けないくらい面白さがあると思うのである。