PILOTの万年筆

投稿者: | 2016-11-12

数年前まで、ペリカン、モンブラン、アウロラ、LAMYなど海外ブランドの万年筆、国産ではセーラーの万年筆をいくつか集めて使っていたが、PILOTの万年筆はあえて遠ざけていた。MOLESKINEの用紙と純正インクの相性が悪いとのことであったためである。
あるとき、仕事でも万年筆を使うためには万年筆独特の高級感とか使うための手間を感じさせない必要があると考えた。自分の手帳などでは何でも良いとして、会議などの場でノートに書き込む作業をするのには、ねじ込み式や嵌合式のキャップでは仕事に集中していないと思われそうで都合が悪い。
そうではあっても万年筆の書きやすさを持ち込んでみたいと思い、このときにノック式のCaplessに注目した。MOLESKINEには使わなければ良いだけで、そういう仕事でのノート書きなどのために購入したのが初めてのPILOT万年筆、Caplessマットブラックの細字である。インクは純正のBBで、コンバータはCon-20にした。
Caplessは特殊な機構であるので異端のものだと考えていたが、実際使ってみると驚くほど書きやすい。ニブが18金で柔らかいのに加えインクのフローが良好であるのがその理由なのだろうと思う。これを今まで避けていたことに少し後悔したほどであり、書きやすいと言われる万年筆とはきっとこういうものなのだろうと初めて知るほどでもあった。
思惑通り、このCaplessを仕事の場でなるべく目立たぬように使い続けることができているが、そんなに書きやすいのなら、主に自宅で使う用途のためにもう1本欲しいとも思うようになっていた。それに加え、近くの文具店の店頭に前から少し気になっていた色彩雫の各色インクが並んでいるのを見かけて、これを使ってみたいとも考えたり、低価格帯万年筆の中にも性能の良いものがあると知る機会などとも重なって、結局最近また自分の中での万年筆ブームが訪れている。
PILOT万年筆の2本目は、その低価格帯の製品の一つであるCocoonを選んだ。ニブは細字で、合金のものというので書き心地はそれなりだろうと思っていたが、これもまた意外で想像以上に書きやすい。デザインも現代風に洗練されていて、ねじ込み式でないキャップも好みで、これもすぐに気に入った。なるほど話題になるはずである。
色彩雫のインクの所有が増えるのにも合わせて、すぐに3本目、4本目を購入した。どちらが先だったか忘れたが、1本はCocoonの色違いボディの中字、もう1本はプレラのカリグラフィである。それまで、選ぶ万年筆は細字ばかりだったが、フローもよく万年筆の感じが高まる中字も使ってみたいと思っていたので、それを選び、プレラは、透明軸が面白そうだったのと、文字書きで少し遊んでやろうと思ってカリグラフィの特殊なニブを選んだのである。
予想通りCocoonの中字の感じが良かったので、そこまで集めると、今度は中字で本格的な万年筆も使ってみたい、合金ニブでこれなら、18金ニブならどんなだろうと、ようやく前から気になっていた2本目のCapless、PILOT5本目の万年筆としてブルーと金のボディのCapless中字を購入した。
これは予想以上にフローが良好で、予想通りに滑らかで、何も文句はないほどであるのだが、欲を言えばもう少し落ち着いた色合いのボディが選択できると良かったと思う。マットブラック以外では、18金ニブのでは色合いが少々自分の好みでないのが多いのである。
そういう、本質的なことではない僅かな不満を反映してしまったのか、今度はもう少し落ち着いた、普通のラインの製品で同じ書き心地のものがもう1本あっても良いのではないかと、結局エラボー金属軸中字を6本目として購入した。
エラボーのニブは14金の中字軟であって、どれだけ柔らかいのだろうと思ったが、これは想定したほどの柔らかさには至っていなかった。Capless中字よりは少しカリカリとした感はあるが、だがこれも基本的に書きやすく使いやすい。日本語の文字を書くために開発されたという謳い文句があるので、そういうものには惹かれるものだ。
7本目は再びCocoonの細字である。そもそもCocoonは定価3000円で買いやすく、インクの色が増えるのに合わせて増やすくらいの勢いで、結局今は3本のCocoonを持っている。ボディ色以外は規格が共通しているので、キャップやニブと首軸部分を付け替えたりして遊ぶことも可能ではある。
色彩雫を使うためにはいずれもコンバータが必要で、プレラにはCon-50が付属し、エラボーにはCon-70が付属していたが、それ以外のものにはCon-40を用意した。実際には、プレラのCon-50を2本目のCaplessに取り付け、プレラのほうをCon-40にして使っている。
1本目のCaplessに付けたCon-20の板バネ式のが好みなのだが、残念ながらCon-50と共に廃盤になってしまった。今後はCon-40が主流になるとのこと。
Con-40はインク攪拌と棚吊り状態防止のためそ金属球入りの透明なコンバータであるが、その金属球がボディの中でカチャカチャと鳴るのがどうも気になるところ。金属部分がないせいか、安っぽく壊れやすそうにも見えて自分としてはなんとなく不安なのだが、故障したという報告も見ないので多分大丈夫なのだろう。