付けペン式

投稿者: | 2016-11-19

万年筆を何本も持っていて、加えてインクも何種類も持っていると、どうしてもいろいろとインクを入れ替えて使ってみたくなる。そういう場合は元のインクを使い切るまで待ってちゃんと時間をかけて洗浄・乾燥させてからというのが鉄則だとわかっていてもなかなかそんな気長にはやっていられない。今あるインクを排出して、色が混じらぬ程度に水洗いをして綺麗になったら、僅かな水滴くらいは無視して別のインクを吸い上げてしまう。
そういうやり方であっても、色が混じらないくらいに洗浄するのが結構大変である。インクを排出した後、何度もコンバータで水を吸い上げては排出し、水が透明になるまで10回も20回も繰り返す。そのたびにコンバータのツマミを右へ左へと何度も何度も回さなければならない。透明になったと思って少し振ってみるとまた色が出てきたりして、とにかく色を変えるのは大変である。
ところが、最初から別の色を試すだけという前提なら、いちいちインクを吸わせずに付けペンの要領で使うというやり方があるのに気づいた。文具店での試筆の時と同じやり方で、ペン先をインクに浸すだけの方法である。ニブの半分以上浸せば、このやり方でもノートに1ページかそれ以上くらい書くことができる。再び別のインクを試すときも、内部に吸い上げないので、基本的にペン先部分が綺麗になればそれでよく、洗浄の手間が半減かそれ以下で済む。厳密なことを言えば内部の経路にもインクが逆流している可能性もあるものの、だいたい流水でしばらく洗うだけでよく、きわめて簡単なので、最近そういう方式である。使う必要はあるが大量には使わないという色についてもこの方式を使えば、適量で使い終えることができて、重宝している。