鉛筆を使うとき、まず鉛筆を削るための削り器が必要だ。削り器でなくてもカッターナイフなど、削るものがないと使い始めることが出来ない。短くなったときに使う補助軸も必要だし、保管しておいたりケースに入れたりするときのためのキャップも要る。修正する時のために字消しも普通は必要となる。
普通は、というのは必須とまでは言えないからで、子供の頃は鉛筆と消しゴムがセットとして無くてはならない思っていたが、修正しない筆記具を使う今になってみると字消し・消しゴムを使う頻度はそう高くはないものの、ないと物足りない。
万年筆の場合はどうか。
絶対に必要となるのはカートリッジか、コンバータとボトルインクである。吸入式の場合もボトルのインクは必須である。これが無ければ書くことが出来ない。
鉛筆の場合の削り器と一緒で、基本的にそれさえあれば使うことは出来るのだが、万年筆はインクの入れ替えや洗浄ということもあるので、そのための皿のようなもの、ペン先を付けておくコップのようなもの、拭くための布か紙(ティッシュやキッチンペーパーなど)、手が汚れないようにするための薄手の手袋などがあると良い。日常の手入れで軸の汚れを拭くためには眼鏡を拭くような布もあると良い。
鉛筆も万年筆も、つまりは本体を購入しただけですぐに使うことが出来ない筆記具である。その意味ではシャープペンシルも芯が必要で、ボールペンもリフィルが要ることになるが、これらは最初からちゃんと使えるようになっていて、万年筆や鉛筆とはだいぶ違う。
鉛筆は使ってしまえば短くなって無くなるが、シャープペンシルは芯さえ追加したらいくらでも使える。それが鉛筆と比較した場合の特徴の一つで、たいていは芯を替えて飽きるか壊れるかするまで、しばらく使う。それが当たり前になっている。
同じ理屈ではボールペンもリフィルを交換するとずっと使えるが、安物ボールペンなどではリフィルを買い求めて交換する人は相対的に少なく、使い捨ての感覚である。100均などのボールペンも10本以上入っているが、あれだって軸は1、2本でリフィルを15本くらい入れてあっても良さそうな物だが、そうはなっていない。
そういうものと比べると、鉛筆や万年筆は面倒な筆記具になるのかも知れないが、そういう本体を使うための物への拘りで遊ぶことができるので、これはパソコンのユーザが周辺機器に拘るような感覚で、それ一つで色々と楽しむことが出来るのである。