瓶インクの少残量対策

投稿者: | 2017-11-04

吸入式やコンバータの万年筆は、インク瓶からインクを吸い上げて使うが、瓶の残量が少なくなると、吸い上げられなくなる。ハート穴や空気穴を塞ぐくらい、ものによっては首軸の辺りまでにインクに浸さないと、空気だけが入ってインクが吸入されない。
つまり、これらの場所が浸るだけの嵩が確保されないと、残量を有効に使えないということである。もちろん瓶の形状にもよるが、同じ量でも広底の瓶だと、嵩は低くなるし、狭い底だと高くなる。なるべく無駄なく使えるように、傾けた状態でも瓶を安定して置けるようにした形状のペリカン4001インク瓶や、ウォーターマンのインク瓶などがあったり、モンブランの瓶のように少量溜められるポケットを備えた瓶もあるし、ボトルの内部にインクポットを組み込んだパイロット70ml瓶や一部のセーラーのボトルのようなものもある。
自分がよく使う、パイロットの標準インク30ml瓶はそういう対策はされていない。他のインクと比べて量が少なめなので、消費するのも早いだろう。こういう瓶はどうにか対策して、なるべく無駄なく使い切りたいと思う。
方法としては、①瓶を傾ける。②別の空きボトルなどに移し替える。③注入器を使う、という3つの方法が思い立つ。
①瓶を傾けるのは、傾けた方が底部が狭くなるので嵩が増すためである。斜めにしただけでも効果はあるが、形状がそれに対応していないので、かなり注意をしてやらないと零してしまう結果を招きかねない。
②別の空きボトルは、他社のインクでそういう対策がされたものを取っておいて、それに残りを移し替えて使うという意味である。同じパイロットの色彩雫15mlボトルも狭い底なので使えそうだが、そういうのがない場合は100均で良さそうな大きさのボトルを買ってきてそれに移し替えるということを想定している。ただし、これもきちんとボトルを選ばないと、口が狭すぎてペン先が入らないとか、倒れやすいとか、密閉性に問題があるとか、そういう要件も多い。コルク栓だとインクが染みこんだりコルク屑がインクに混じったりする可能性もあったり、ガラスではない樹脂のボトルだとインクの変質はしないのかなど、そういう心配もある。
③の注入器は、注射器のような化粧品を移し替えるための器具がこれも100均にあるので、それを活用する。それで外したコンバータに注入したり、空になっているカートリッジに再注入して使ったりする方法である。もちろんこういう方法はメーカーが推奨する方法ではない。コンバータは何度も付け外しすると緩むとも言われているので、なるべくならやりたくない。カートリッジを使うにしてもコンバータを外す必要があるので同じだ。
もう一つは、④新しいボトルに混ぜ込んでしまう、という方法もあるのだが、これは古いインクと新しいインクが混ざることになり、溜ったゴミなどの不純物まで混入させてしまったり、既に変質したインクと混ぜてしまったりすることになるので、この方法はやらないほうがいいと思っている。
そういう対策が色々考えられるが、現実的なのは①か②で、それでも最終的には、使い切れない分は捨てるしかない。カートリッジを使うより基本的には格段に安価なので、その時点でも十分コストの効果はあったと考えるしかないのであろう。