子供の頃、電卓・計算機と言えば今のパソコンにも匹敵するくらいの凄い機械というイメージがあった。大人達が使っているその計算機を触らせてもらうのも楽しみだった。
入力したとおりに発光ダイオードで数字が表示されて、一瞬で計算の答えが導き出される夢のような機械である。小さな頃から簡単な計算さえも苦手な自分は、これが算数の授業などいつでも使えたらどんなに便利だろうと思った。
高校や大学くらいでは、簡単な計算程度なら電卓を持ち込んでやっても良いなどという先生もいて衝撃を受けたものだが、そういう数学は普通の電卓があったからと言って簡単に解けるようなものでもないので、結局楽にはならなかった思い出もある。
そんな凄い機械も、今や100均でも買える時代である。パソコンはもちろん、携帯やスマホにも当たり前のようにその機能がついていて、もう何も珍しい物ではなくなったし、一般的な製品からは機械らしさ、重厚感も消え、テレビのリモコンのような軽く簡易な機械に成り下がってしまっている。ソーラー駆動でバッテリー交換も必要がないのは良いとして、ほとんど所有する喜びというようなものも失われてきている。
関数電卓は別として、幾つか高価な製品もあるようだが、基本的な機能は電卓なので、結局はそんなに計算機能の差異はあるわけでもない。
計算の作業は、パソコンのExcelで全てやってくれるので、会社の経理などの事務においても電卓の意義は薄れてきているような部分もあるが、それでも検算の場合には電卓を使うし、わざわざExcelを起動し計算式を入力して結果を得るようなことに至らないものも多く、今後も電卓の存在意義が無くなることはない。
何気なく使っている電卓も、時々そう考えてみると、手元に無いと困る機械の一つである。