PILOTの万年筆にインクを供給するためのコンバータ、CON-70は容量も大きくプッシュ式で片手でインク吸入操作ができる。
一般的なコンバータはつまみを回転させて中のピストンを上下させてインクを吸引したり排出したりするが、CON-70の場合は尻軸側のボタンを何度か押すことによるポンプ操作で吸引と排出ができる仕組になっているので、インク排出やインク経路の流水洗浄が回転式よりも少ない労力でできるのも良いところだ。
自分は他のコンバータより気に入って使っていて、CON-70が使える万年筆をなるべく選ぶようにしているくらいである。
ところが構造上の違いで、このコンバータをきちんと洗浄するのは難しいようだ。
よく観察してみると、中央に通っているパイプに入り込むインクの排出が中々難しいようなのである。本体から外して、コンバータの口の側から水道水を入れてやると、パイプの先端から色水が出てくる。何度繰り返しても、色水が出てくる。パイプは主に空気の経路でここから吸い込んだ空気で気圧差を作ってインクを吸い上げるようにしているか、あるいはその先に弁があって、出し入れ方向を切り替えているか、そういう役割の物ではないかと思うが、そこにインクが入り込むのである。
普通のコンバータは数回水を出し入れするくらいでだいたい水が透明になって綺麗になるものだが、CON-70の場合はなかなか透明な水にならない。
同じコンバータを使ってインクを別の物、別の色に変更する時は、一応水が透明になるまで出し入れして洗浄するが、CON-70の場合はそれだと完全には綺麗にならないかもしれない。水を入れた状態で、そのパイプの中にも水が入り込むような状態でしばらく色水が出なくなるまでということになると、これは相当手間がかかる。無論、分解しない前提だ。
別のインクを使うときは万年筆やコンバータを綺麗に洗浄するのが基本だが、CON-70の場合は同系色なら多少前のインクと混ざるのを我慢する覚悟が要るかもしれない。パイプの中のインクはそんなに大量ではないはずだが、その奥に弁のような物や一定の領域があるとした場合はさらに厄介なことになっているので、きちんとする場合はそのコンバータで使い始めたインクはなるべく替えないほうが良いのだろう。