昔から、かな漢字変換には単語登録という仕組みがあって、変換できない語をユーザが自分で登録して変換しやすくして使ってきた。ワープロ専用機では制約が多く、登録できる語数が限られていたり、品詞別の登録もできなかったが、専用機の標準辞書は機種固定のROMで更新されないため、変換できない単語は登録に頼るしかなかった。地名や名前などの固有名詞、よく使う専門用語や略語などを登録したものだった。
パソコンのIMEでは、登録語数の制限もなく品詞も設定できるのが普通である。
パソコンを使うようになった当初、これで自由に単語登録できると思って変換できなかった語は片っ端から登録していったものだった。
ただ、そもそも変換に用いる標準辞書が専用機のものより充実していたし、IMEを更新することやOSのバージョンアップの場合で、標準辞書も更新され新語が追加されるなどもあり、自分の中では次第に単語登録の必要性が薄れていった。
ATOKでは、標準辞書の他にも専門用語などの任意の辞書を自由度高く追加、組み合わせができるようになっていて、その他に学習情報や登録単語がユーザ辞書に登録される仕組みである。MS-IMEでもユーザ辞書とは別に任意の辞書を追加できるし、Google日本語入力ではユーザ辞書を含めて複数登録できる。
こういう辞書機能を踏まえて、一連の専門用語群についてはそれぞれ別の辞書にして辞書毎に変換に用いるか否かを選択するような使い方を考えることで、ユーザ辞書への単語登録を減らすことが可能である。
標準辞書とATOKなどの変換エンジンの優秀さを考えると、誤変換は年々少なくなってきている。変換の学習情報、推測や連想変換、省入力、自動辞書登録など機能は豊富であるが、誤変換や用字用語の癖も学習してしまうので、学習しすぎてIMEにユーザの色が付いたりするようにも思う。それが良いかどうかは捉え方にもよる。
一般的な語についてはあえて辞書登録をしなくても標準辞書と変換機能で対応できる。固有名詞、記号や略語入力、顔文字などの特殊文字列については依然として単語登録を活用するほうが便利で必要な機能ではあるが、重要度ということに関しては以前と状況が変わってきているように感じるのである。