ワープロとエディタ、使い分け

投稿者: | 2007-04-08

電子情報機器との出会いはもう20年ほど前、ワープロ専用機を使い始めた事に始まる。ワープロ専用機は、今のワープロソフトと同様に、文章を作成するための物とは言いつつ、文書を作成するというのが第一目的だったから、最終的に印刷するための用紙の設定がまずあって、1行に何文字、1ページに何行の字詰めをするかという設定を行ってから、編集作業を始めなければならなかった。
一つの文書ファイルには容量制限もあり、長文になる物は分割していくつものファイルを作成する事を余儀なくされた。

パソコンを使い始めた十数年前も、当初は一太郎とWordのワープロソフトを使っていたが、テキストエディタを知ってからは、専ら文章の作成はテキストエディタで行うようになった。

当時のワープロソフトは、今と違いパソコンを使う上でもだいぶリソースを必要としていて、起動も遅かったし、動作も鈍かった。ワープロなので、専用機と同様に、文書作成に主眼をおいている事も変わりはない。作成したファイルはバイナリ形式であり、ちょっと内容を閲覧するのにも重たいワープロソフトをいちいち起動しなければならず、作業の負担にもなった。

テキストエディタは、ワープロソフトに比較すると極めて軽快に動作し、用紙設定を気にする必要もない。この頃からエディタもプログラミングのためだけではなく、文章作成ツールとして機能が付加されてきたため、特に検索などの編集機能はワープロソフトのそれとは比較にならないほど高機能で高速に動作した。汎用性の最も高いテキストファイルであるが故、ワープロソフトでもそのまま読み込めたし、GREP機能を使って多ファイルの一括検索も行えた。
書式の設定や保存は当然行えないが、書式や文書としての情報が必要になるのは、それを紙の文書として作成し、印刷し、保存するときなので、それはテキストエディタで作成した文章をワープロソフトで仕上げのみ行えばいいのだ。

今に至るまで、文書作成ではなく、文章の作成作業は常にテキストエディタを使うようにしている。
次第に仕事の環境でもパソコンの使用が当たり前になってきて、過去に作成した文書リソースが増えてくると、新たな文書・文章作成の頻度より過去のリソース修正による再利用の頻度も高くなってくる。
あるいは、文書のテンプレートが作ってあって、それに書けと言われる場合も多い。
こういう場合は、テキストエディタを使って文章作成し、それをワープロ文書に貼り付けるという方法はかえって非効率であるので、素直にワープロソフトを使う。
つまり、新規の文書作成(図版より文章の比率が圧倒的に高いもの)は、ほぼテキストエディタ作成原稿をワープロに貼り付けて編集・調整するが、過去のリソースや定型文書については最初からワープロソフトを使うという使い分けを行っている。

一般的には、文書作成であれば最初からWordなどのワープロソフトを使って書く場合がほとんどだろうし、メールならOutlook Express、ブログならInternet Explorerでブログツールのフォームだろう。それが多数派だ。

自分の場合は、文書の新規作成時はもちろん、メール文もブログの原稿も、皆テキストエディタを使う。使い慣れた同じテキストエディタを使う事で、執筆環境が統一され、実に快適だ。
テキストで作成して貼り付けるのは面倒に思えるだろうが、そう大した作業ではない。メールはGmailを使う事がほとんどで、つまりこれも基本的にはブラウザのフォームなのだが、ブラウザはFirefoxを使っていて、テキストボックスを任意のテキストエディタで編集できるようにするExtensionを組み込んでいるため、エディタでの編集とフォーム入力が全く苦にはならないのだ。

今はパソコンが高性能になってきて、ワープロソフトの起動や動作が重くて困るという事はない。こういう使い分けが万人にとって良いとは言えないが、こういう選択肢とこういう使い分けがあっても良いのだと思う。