初めて目にしたPCのキーボードは多分PC-98のキーボードだった。それまでは、ワープロ専用機のキーボードしか見たこと触ったことがなかったので、機能の刻印、日本語表記が全くないことで、これは使いこなせるのだろうかと思ったものだ。
ワープロ専用機のキーボードには、改行・実行、後退、削除、機能1機能2などの修飾キーや、複写、移動、ファイルなどそれぞれの機能が色分けされて日本語で刻印されていて、何も見ずにキーボードだけを辿ってコマンドを実行することができた。
だが98のキーボードにはそんな刻印は一切無い。メインキーにはかな表記はあったが、あとはf1、 f2……などやNFER、XFERなど読み方さえもわからない英字表記のキーなどが並んでいて、使い方が全くわからなかった。アプリケーション毎に割当が異なるというのは段々わかってきたが、そうであるなら尚更、ワープロ専用機のように全てのコマンドを覚えて使いこなすのは無理だろうと思っていたが、それでも機能表示のないキーボードを使いこなすことこそPCを使えるようになることだとも思った。
実際に触ってみると、キーボードのコマンドはそんなに躍起になって覚えなくても画面上のガイド表示を辿ったり、あとはマウス操作で大半のことができたりするようになっていたので、それで苦労したことはない。
今になって考えると、JISキーボードにはかな刻印の他にも変換無変化とか、半角全角とか、カタカナひらがなとか、そういう日本語表記のキーがあるのでPC-98のキーボードよりそういう点では安心が出来るのかも知れない。
自分はUS配列のキーボードを使うので、こちらは、日本製のものであっても一切日本語の表記・刻印は無い。
しかしそれで間に合っている。日本語表記の一切無いUSキーボードで和文入力はできているし、日本語版Windows環境で何の問題も無く操作できている。
知らない人からすると、これで普通に使えるのかと思うのかも知れないが、ちゃんとできる。初心者が何も知らない状態からUS配列を覚えるのは一見、苦労しそうでもあるが、そういうものだと思って習得し始めたら、何の苦もないのかもしれない。