AOURを使うには、もちろん新たに定義を覚えなければならない。
自分がATOKに登録している定義数は550に近いが、もちろんこれを全部覚えなければならないというわけではなく、それよりずっと少ない。
AOURの定義を群に分けて、習得する段階は5段階あると考えている。
第一段階は「最低限習得が必要な定義群」で、母音や子音のキーなど、各文字を入力するための割当である。これを習得しなければそれぞれの文字を入力できない。音節で入力した場合でも、1文字だけ修正するなどの場合はその文字をどう入力するかを覚えておく必要がある。ただし、入力方式という視点で見た場合は、母音が左手ホームに並べてあることでローマ字入力より把握しやすい部分はあるが、文字単位でしか入力ができないのでまだ不便名段階である。
この第一段階で習得しなければならない割当・定義数は25であって、これはどうあってもこのまま覚えなければ先へ進まない。
第二段階は「普通入力に必要な定義群」で、拗音節や外来語の特殊音の定義が含まれる。これを覚えた段階でローマ字入力とほぼ同等の効率に達する。
第二段階で習得しなければならない割当・定義は19であるが、いわゆる拗音キー(ローマ字でいうところの「y」)に相当するキーは右手人差し指キーというルール、外来語音で小文字を含む場合のキーが「p」という決まりを踏まえると、既に第一段階で習得した子音との組み合わせなので、新たに覚えるべき定義は7程度であると考える。
第三段階は「拡張入力の基本定義群」で、これは他の拡張入力方式などでもよく採用されている二重母音と撥音節の定義である。AOURを使うならこの拡張により格段に打鍵数の削減が図られるので、習得しなければやる意味がない。
習得しなければならない定義は10あるが、これも母音キーの上段か下段かということだけ覚えれば、並びは母音と一緒なのでキー毎に覚える必要はなく、2つのことだけ習得したらそれで間に合う。
第四段階は「拡張入力の応用定義群」で、拗音を含む音節の裏打ち(代替入力)や促音+カサタパ行の綴りを省力化する定義群である。これを習得することで、更に打鍵数の削減が図られ、やがて原則方式を使わずに代替方式ばかりを使うようになると思われるものである。
習得しなければならない定義は26であるが、これも典型化された決まりを考えるとほとんど新たに習得する項数がなく、10程度である。
第五段階は「拡張以上の特殊定義群」で、ァク音節入力のほか、特定定義として割り当てる子音同士の組み合わせの定義である。特定定義は規則性はないものであり、第四段階まで概ね使えるようになった後などに必要に応じて習得するべきものである。
ここでの定義数は39以上であるが、ァク音節に関しては1つの決まりを習得するだけである。
以上のように、登録定義数はATOK上限の550近くあったとしても、実際に覚えるべき定義数は最大でも120程度。定義の典型を意識すると習得すべき事項は45程度とも考えられ、さほど習得が困難なものではないということになる。
拡張定義がある分ローマ字入力よりは覚えるべきことは多いのは仕方がない。