AOUR利点欠点

投稿者: | 2021-03-26

もう10年以上AOURを使っているが、改めて利点と欠点は何なのかを整理しておく。
利点は、何と言っても少打鍵による高速化であって、明確な利点としては多分それしかない。
例えば「内閣官房」という語を入力する場合、ローマ字入力なら、
  na-i-ka-ku-ka-n-bo-u (8-13)
という入力で、8音節13打鍵である。
AOURの場合は最短で、
  lq-ii-iz-nw (4-8)
という入力で、4音節8打鍵で済む。
これは、指の動きはもちろんのこと、入力時に指に指令を出すのも4音節の単位で考えるようになるので、このほうが圧倒的に速い。考え方によってはかな入力よりも速い。同じ条件での比較が難しいが、数値的にはローマ字入力はもとより、一部はかな入力よりも少打鍵で高速とも言える。
そのほかに考えられる利点としては、他人が使っていない方式を使っていることでの優越感というのも自分としては有るが、一般的な感覚ではない。
これは大きな利点であるとは思うが、欠点のほうが実は多い。
一つは、設定・切替が必要であること。AOURなどの入力方式は当然にATOKやGoogle日本語入力、MS-IMEなどですぐ使えるわけではない。定義をカスタマイズしたり、定義ファイルをインポートしたりして切り替える必要がある。作業自体はそう難しいものではないと思っているが、多くの人はそういう作業自体がストレスになるようだ。そういう初期値と違う設定をしてしまうことにより、何か不具合が生じたときに対処できない、PCを乗り換えたとき、他のPCや機器を使うときに対応できないと考えてしまうことでこれはマイナス面になっている。
二つ目は、習得が必要であること。仮に設定・切替が簡単でPC乗り換え時なども対応できる能力があったとしても、AOURなど入力方式は十分に習得しなければその効果が得られないので、そのための労力、時間がかかる。これもまた最大の欠点とも言える。ローマ字入力をブラインドタッチで扱える人であることがある程度前提になっていて、そういう人でも覚えるまで1週間程度は必要。さらに高速に打鍵できるようになるまでは1~数ヶ月はかかる。つまり、従来方式と併用して切り替えたりすることができるとしても、完全に習得するまでは作業効率が低下することは避けられない。
三つ目は従来方式との混同である。ローマ字入力などを使っていて、この方式に切り替えるので、どうしても両方式どっちを使っているのか相当意識を持っていないとミスタイプは増えることになって、これも作業効率の低下に繋がる。自分のように完全に習得した後であっても、ローマ字入力もたまに使うことがあるので、それとの混同はまだ生じることがある。特に、ローマ字入力に切り替えて使うときにAOURの定義で打鍵してしまうことがよくある。
四つ目はマイノリティ・少数派であること。今、入力方式としては全体の9割以上がローマ字入力で、残り1割はJISかな入力、それ以外の方式はおそらく1%に満たない。AOURはその1%に満たない中の一つとも言えないくらいの少数派、ほとんど自分しか使っていないであろう方式であるので、Dvorak系の類似の方式を含めたとしても周りで同類の方式を使っている人を探し出すのは困難と言える。
つまり、周りのユーザは全てローマ字入力、一部の人はJISかな入力であるので、初心者などは強い意志を持って独学で習得する必要があり、問題が生じても自分で解決する必要があるし、設定切替やPC乗り換え時にどうするか、対応の可否も自分で見通しを立てておく必要がある。
使うPC以外の全ての機器類もローマ字入力が基本になっていてAOURが使えないことが多く、もちろん説明などもローマ字入力前提なので、そういう補いも自分でしなければならない。
さらには、タイピングゲームの類も普通のローマ字入力しか扱えないものがほとんどであるので、入力速度の他人との比較も出来なくなる。
利点と比較すると欠点の方が多く、普通の人は、じゃあローマ字入力のままで良い、という選択になる。尤もである。
そういう欠点を理解した上でもなど少打鍵、高速化に挑戦してみたい、どういうことになっても自分で解決できる見通しが立てられて、それなりの能力がある人、時間的な余裕もあって、少数派であることを寧ろ誇りに思えるような考えを持った人でなければこういう独自の入力方式でやっていくのは困難であると言える。

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