かな入力とローマ字入力。キーボードから和文を入力する方式として、誰もが知っているのはこの二つである。かつてのワープロ専用機が全盛だった頃は、これに加えて親指シフト方式も一定の利用者がいて、この三つの方式がよく知られていたが、今は親指シフトが使えるキーボードが限られてしまうために、ユーザは少なくなった。
ユーザ数ということでは、かつてはこの三つの方式がそれぞれ、それなりの領分を保っていたが、パソコンの一般化とともにかな入力とローマ字入力に絞られ、さらにはローマ字入力が優勢になって、今はローマ字入力が9割、かな入力が1割という割合だと言われている。
これらの入力方式以外にも、特殊な方式はあるということは以前から知っていたが、それを実装する方法は少なくともワープロ専用機ではなく、パソコンでも特殊なソフトウエアやそれ専用のキーボードを使わなければできないと思っていたし、入力効率が上がるとしても他に影響もあるだろうと思って、当初はさほど興味を持つこともなかった。
そういう、様々な方式が考案されていることに興味を持つのは、ローマ字入力以外の方法でもう少し効率的な入力ができないかと思い始めた頃だった。AZIKという、ローマ字入力を基礎とした拡張入力方式があって、二重母音や撥音の拡張などをやっているうちに、過去に知ったSKY配列というのも思い出す。
AZIKはATOKで使える方法があったので、拡張入力としては入り込みやすいと思ってそれをはじめ、数年その方式を使って、おそらくローマ字入力よりも効率的かつ高速に入力ができるようになった。
Dvorak配列やACT、そしてそれを参考にしてATOKに実装して今のAOURに至るのはさらにその数年後という事になる。