かつて、自宅の居間の壁には単2の乾電池で駆動する古いクォーツ時計が掛けられていた。特に何というのでもない、ちょっとだけ古めかしいデザインで、秒針がステップ運針の、ごく普通のクォーツである。
ある時、電波時計はデジタルのものだけではなく、3針式のアナログの掛け時計でも種類があるということを知った。アナログ運針の電波時計の動作にも興味があったし、さらに、家具の配置と生活スタイルを考えてみた場合、反対側の壁に設置した方が都合が良さそうだったというのがあって、電波掛け時計というモノを購入してみた。
リズム時計工業(CITIZEN)の某製品であって、秒針はスイープ運針。周囲が暗くなると0秒位置で秒針が停止する機能もある。
シンプルな現代風のデザインで、部屋にもマッチし、受信状態も問題ないが、若干小さいのと、白文字盤にグレーの針であったため、角度によっては反射などで時刻を読み取りにくく、見えやすい位置を探して移動しなければならず、少々の不便があった。
しばらくして、他の部屋でも掛け時計の必要が生じた事により、そのCITIZEN時計をその部屋に写し、居間の時計を再び新調する事にした。今度のはSEIKOの某製品で、やはり秒針はスイープ運針。価格は前者より少々上だが、夜間秒針停止機能などはない。白い文字盤は蓄光材であって、夜間暗い部屋でも時刻を読み取る事が出来るという機能を有している。
針は黒で見やすく、文字盤蓄光が明るく長時間保持されるところは気に入ったが、この製品は、多少のクセのあるデザインであって、部屋の雰囲気に僅かながら合わないように感じた。こういうモノは、実際にその場に設置してみなければわからない部分があると思うのだ。
その上、分針の目盛りとの位置に誤差があり、それが示された精度の範囲内ではあるものの、かなり気になった。
さらにしばらくして、寝室のベッドからの視線位置にも掛け時計が欲しいと思うようになった。寝室には目覚まし(これまた電波時計)があるが、頭上位置なので、時刻確認のためには不自然な体勢を強いられる。無論単なる我が儘でもある。
寝室の時計としては、まさに蓄光して夜間でも時刻が確認できるその時計が最適であったのだが、その代わりの居間の時計がなかなか見つからずにいた。
少し前になって、再びリズム時計工業、CITIZENの製品で、良さそうなのを見つけ、居間のをそれに変え、SEIKOの時計は寝室に移動した。
この時計は、バックアップ電池で時刻を保持する機能を有し、時刻合わせが短時間で完了する優れた機能がある。秒針は夜間停止機能に加えCITIZEN独特のサイレントステップ運針で、スウッと動いて各秒でピタッと停止。まずそれだけで今までにない新鮮な感じ。価格はSEIKOのそれよりもさらに少し高価だが、盤面も黒針で見やすく、デザインも部屋にマッチする。微妙に分針目盛りの誤差はあるものの、とりあえずようやく求めていた時計に出会えた感じだ。
掛け時計に関しての個人的な感想としては、まず、やはり価格と機能、デザインはだいたい比例する。国内2台メーカーであるSEIKOとCITIZENでは、同一機能ならSEIKOの方が少し高価であり、あとは予算や好みでの選択となる。
部屋の壁紙やインテリアとマッチするかどうかは、実際に設置してみなければわからないところだが、必要な大きさと針や文字盤の色や雰囲気はある程度決めた上で選ぶのが理想的、というところだろうか。
何にしても、電波時計は秒の単位まで正確に自動修正されるのは安心感がある。自分は腕時計はメカニカルなモノを使うので、毎朝の時刻修正の時にアナログ運針の電波掛け時計はたいへん重宝する。117もテレビの時刻表示も必要ない。時計を合わせるための時計。家での時刻の基準となるのだ。